2021年 ヨネックスレディス

「責任あるほど、きつく難しい」 上田桃子が記者会見に思うこと

2021/06/03 17:47
開幕前日に会見した前回大会覇者の上田桃子

◇国内女子◇ヨネックスレディスゴルフトーナメント 事前(3日)◇ヨネックスCC(新潟県)◇6435yd(パー72)

テニスの大坂なおみ選手が全仏オープンを前に「選手のメンタルヘルスが考慮されていない」ことを理由に記者会見に出席しないとSNSで公表。1回戦突破後に「うつ状態」であることを明かし、棄権した。

ゴルフでも記者会見は精神的な負担になりますか――。ツアー16勝で大会連覇がかかる34歳・上田桃子に記者会見で聞いた。

上田は大坂選手と立場が違うと前置きしながらも、「会見とかでそういう気持ちになったことはないが、やっぱりアスリートである前に一人の人間なので、きつい質問だったり、今話したいことが整理されていない中で発言しないといけないのは、責任があればあるほど自覚もすごくあると思うので、きついというか、難しい」と説明した。

人気、実力を兼ね備えた女子プロゴルファーの第一人者として最前線に立つ

ゴルフとテニス。競技こそ違うものの、共通点は多いように思える。メンタル面も結果を大きく左右する個人競技で、試合での賞金だけでなく、スポンサー収入の割合も大きい。

上田は2005年にプロテスト合格を果たし、21歳だった07年には賞金女王に輝いた。国内ツアーの生涯出場試合数は344試合で、生涯獲得賞金は歴代9位となる8億7650万円超え。所属はZOZO、クラブ契約はキャロウェイと大坂選手と一概に比べることはできないが、実力、人気を兼ね備えた女子プロゴルファーの一人で、競技だけではなくプライベートの話題がニュースとして取り上げられることもある。

「プライベートも含めて、いいときばかりではない。女性であり、まずは一人の人間。今の彼女の中で会見することが難しいというのがベストだったと思いますが、責任がある選手なので難しいところ。でもそこに対して良いとか悪いとかっていうのは本人の立場にならないと分からない」と慎重に言葉を選んだ。

日々精神をすり減らしながら、国内外を転戦。優勝争いでの一打にかかるプレッシャーは一介の記者が考える想像のはるか上に違いない。

取材拒否には罰金の規定

選手、メディアともに世の中の視線に直接さらされている

2021年度JLPGA(日本女子プロゴルフ協会)トーナメント規約・規定集には「選手は、報道目的であるメディア、JLPGA及びJLPGAより許可を受けた者より、取材を求められた場合、これに応じなければならない」と選手の心得を記している。

違反した場合は1度目が注意、2度目は5万円以上の罰金と規定されているが、広報担当者によると選手に処分が科された記憶はないという。

一方で、テレビや新聞、ネットを含めた報道機関だけではなく、選手個人のSNSも影響力を持ち始めている。昭和から平成、令和に移り、情報発信と情報への接し方の形態がともに大きく変わる中で、アスリートとメディアの関係性が改めてクローズアップされている。(新潟県長岡市/玉木充)

■ 玉木充(たまきみつる) プロフィール

1980年大阪生まれ。スポーツ紙で野球、サッカー、大相撲、ボクシングなどを取材し、2017年GDO入社。主に国内女子ツアーを担当。得意クラブはパター。コースで動物を見つけるのが楽しみ。

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