素っ裸の娘、ラインを読むふり 勝てない勝を支えた母
◇国内女子◇リゾートトラストレディス 最終日(30日)◇セントクリークGC (愛知)◇6605yd(パー72)
1カ月ほど前にキャディバッグを担いだとき、勝みなみの状態は「ボロボロだった」と明かしたのは母親の久美さん。急きょ今年2回目のキャディを務めた今大会でツアー5勝目を挙げ、「すごくうれしいです」と笑みがこぼれた。
今シーズン、成績不振になりつつあった娘をずっと隣で見守ってきた。「もともとゴルフが大好きな子。絶対にあきらめるということはないし、前向きにトレーニングと練習を頑張る子。いつかは良くなると信じて一緒にやってきた」
トレーナーとメニューは異なるが、2020年1月に娘がトレーニングを始めると、54歳ながら自分もその日程に合わせてきたえ始めた。食事面もいつでもおにぎりを作れるようにと行く先々に炊飯器を持ち運び、可能な限り握ってきた。
コロナ禍で会場に入れずやきもきする日々だったが、いつか復活するという予感はあった。「どうしてなんだろう、って言いながら何百枚もスイング動画を撮って昔のものと比べていて…。それをどこでもやるんです。お風呂の中でも、お風呂を出てからも素っ裸でスイングしていて、我が子ながらこの子すごいな!って。さすがに服着ようかってなったけど(笑)」
最終日、勝からパッティングのラインや風向きを相談されることも多かったという。「でも、私には分からないので『そうだね』とか『そう思うよ』って雰囲気だけは一生懸命読むふりをして…。そうすると本当にパターが入る気がして。特に何もしておりません」と笑いを誘いながら、娘の勝利を喜んだ。
6月3日開幕の海外メジャー「全米女子オープン」に久美さんも帯同する。「安心して渡米できるのがうれしいです。ほっとしています」と語った。(愛知県豊田市/石井操)
■ 石井操(いしいみさお) プロフィール
1994年東京都生まれで、三姉妹の末っ子。2018年に大学を卒業し、GDOに入社した。大学でゴルフを本格的に始め、人さまに迷惑をかけないレベル。ただ、ボールではなくティを打つなどセンスは皆無。お酒は好きだが、飲み始めると食が進まないという不器用さがある。