女子プロゴルファー「引退ラッシュ」 背景に世代交代と選手寿命
女子プロゴルファーの「引退宣言」が相次いでいる。ツアー3勝の大江香織(29)が前週の「伊藤園レディス」で現役を退いたのに続き、同じく3勝の一ノ瀬優希(31)、7勝の佐伯三貴(35)が18日(月)、今週の「大王製紙エリエールレディス」でツアーを撤退すると立て続けに発表した。
優勝経験を持つ中堅選手の引退ラッシュと言える事態。背景には何があるのか?
前週終了時点で、賞金ランキングは大江が78位、一ノ瀬が80位、佐伯が69位。シーズン終了時点で50位以内に与えられるシードを逃すと、来季出場権を獲得するには予選会に回ることになるが、自らそれを取りやめた形だ。
大江はモチベーションの低下、一ノ瀬と佐伯はケガなどを一線を退く理由に挙げるが、世代交代や選手寿命が短くなっていることが背中を押したのは間違いない。今季の賞金シード選手の平均年齢は、シーズン開始時点で最も低い26.4歳。1998年度生まれの渋野日向子、勝みなみ、小祝さくら、河本結ら“黄金世代”に加え、10月に7人目のアマチュア優勝を果たした古江彩佳、今年プロテストに合格した安田祐香ら2000年度生まれの世代も台頭してくる。
アマチュア時代からプロツアーの出場経験が豊富な若手選手は用具の進化もあり、飛距離やショット力をベースにしたスタイルを築いている。伸ばし合いになるコースセッティングでバーディ合戦となる試合が増えており、若手が有利になっているとも言える。
3月の開幕戦から12月の最終戦まで休みがなく、30歳以上で優勝したのは今季、申ジエ(韓国)、黄アルム(韓国)、上田桃子、李知姫(韓国)の4人だけだ。
一方、女子プロゴルファーが「引退」を明言するのは一般的ではない。2011年の古閑美保さん、17年の宮里藍さんが目立っていた程度で、今回一気にラッシュが来た。ツアー関係者は「スポンサーやファンに対し、はっきり区切りを示す意味で引退を宣言する選手が出てきたのではないか。実際、今回のうちのひとりはそう言っていた」と明かした。(編集部・林洋平)