上げるか、当てるか?堀川未来夢と清水キャディのぶつかり合い
◇国内男子&アジア共同主管◇パナソニックオープン選手権 2日目(20日)◇茨木カンツリー倶楽部・西コース(大阪)◇7343yd(パー71)
口喧嘩をしているようにも、押し問答をしているようにもみえる光景だった。19日(木)午後のアプローチ練習場。初日のラウンドを終えた堀川未来夢と今大会でコンビを組んでいる清水重憲キャディが、なにやら熱い議論を交わしていた。
お題はアプローチの方法について。初日スタートホールの10番でグリーンを外した堀川は、左足下がりのラフから球を上げてピンを狙うも、寄せ切れずにボギーとした。ホールアウト後の食堂で、清水キャディは同組で回った片山晋呉に「どう思います?」と尋ねると、永久シード保持者は「あれはないね」と切り捨てた。
グリーン手前の地面に当てて(クッションさせて)、球の勢いを殺して寄せていくアプローチ。その方が確率は高いというのが、片山や清水キャディの見解だ。だが、堀川は「クッションを使うイメージはない」と主張している。
「(クッションを使うのは)芝にどう食われるかわからないし、どっちに跳ねるかわからない。トランプの赤黒(を当てる)一発勝負みたいなもの」と堀川はいう。「でも上げるのは、ここ(インパクト)の勝負。自分がうまければ良い結果がでるし、下手だったらダメなだけ」と、技術を磨いて自己責任で処理したいという。
一方の清水キャディは「何回やって、何回成功するねん?」と確率論で攻めてくる。「スピンほど確率の低いものはないで。(球を)上げて第一人者になった人はいない」と譲らない。「でも、大谷翔平の二刀流もいままでいなかったじゃないですか?」と堀川。「あいつは結果をだしてるやん(お前はどれだけ結果だしてんねん!)」と清水キャディ。
今年1月のシンガポールでは、パー5の2打目で狙うか、刻むかで意見がわかれ、3Wを抜こうとする堀川を制して、清水キャディは5Iだけを置いて歩いていってしまったこともある。「どれだけケガをしないでチャンスにつけられるか」というのが清水キャディの基準。「でも一球しか打てないから、結局どっちが正解かわからない」と堀川。
この日の最終18番(パー5)で堀川はグリーン奧からクッションを使ったアプローチで1m強につけてバーディフィニッシュ。「67」で回り通算3アンダーの27位へと浮上した。それでも「あれはクッションを使わないとどうしようもない状況。どっちでも大丈夫なら上げていきます」と信念は曲げていない。最後は「練習の成果ですかね」と清水キャディのフォローも忘れなかった。(大阪府茨木市/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka