“パンツ一丁”でもできる? 練習しないプロたちの調整法とは
「練習はしませんよ。というよりも、したくないんです。疲れちゃうから」。そう豪語するのは、今年の「日本プロゴルフ選手権」で7年ぶりのメジャー制覇を遂げた手嶋多一だ。今週の「ブリヂストンオープン」期間中も、ホールアウト後はドライビングレンジに出ることなく足早にホテルへ戻った。
とはいえ、プロゴルファーにとって、スイングの精度を保つことは命ともいえる。いったい、どんな調整を行っているのだろう。まさか、本当に何もしていないわけはないはずなのだが…。
練習場に行くかわりに、手嶋が大切にしているのは、ホテルにある鏡の前で行うアドレスチェックだという。「僕は6番アイアンとパターを持ち帰って、アドレス時の肩のラインをチェックしている。左肩が下がらないように。あとは、目線のラインも大事だね」。チェックに費やす時間は決めておらず「テレビを見ている合間に、ヒマなとき」と、かなりアバウトだ。
毎日、数本のクラブをホテルに持ち帰る手嶋を手本にしたというのが、今季「日本ゴルフツアー選手権」で同じくメジャーを制し、今週3位タイに入った竹谷佳孝。両手首に長く故障を抱えているため、ラウンド後の練習を極力控えており、ボールを打つことなく、効果的な調整方法を模索中だった。
「クラブを持ち帰る手嶋さんを見て、不思議に思って聞いたんです。それはいいな、と思いましたね」
竹谷も、やはりアドレスチェックがメイン。「アドレスの肩のラインやヒジの位置。アドレスを自分の形に直すことを大事にしている」という。ちなみに服を着ていると、前傾したときに上着の裾がたるんで邪魔になるため、鏡の前では「パンツ一丁です」という。
練習をしない理由こそ違えど、2人が口をそろえるのは、アマチュアにも参考になるチェック方法であること。「アマチュアはボールを打ちたがる傾向にあるから、地道なところに行き着かないと思うけど。参考にはなるかもしれませんね」と竹谷。ボールを打つ前に、まずはアドレス固めを優先すべき、ということか。
手嶋も同じ意見だ。「いくら練習しても、まずは基本的なアドレスを作ること。それがなければ、ボールが真っ直ぐ飛ぶわけがない。まずはそこからだと思いますよ」。
闇雲にボールを打つだけが上達への近道ではない、というプロの教え。練習時間がないと嘆いている皆さんも、試してみてはいかがだろう。(千葉市/塚田達也)
■ 塚田達也(つかだたつや) プロフィール
1977年生まれ。工事現場の監督から紆余曲折を経て現在に至る。35歳を過ぎてダイエットが欠かせなくなった変化を自覚しつつ、出張が重なると誘惑に負ける日々を繰り返している小さいおっさんです。