2014年 日本オープンゴルフ選手権競技

ゴルファー日本一の称号を得た池田勇太 海外進出はいつ?

2014/10/19 19:39
「日本で”強い池田勇太”を作りたい」と語った池田。海外進出はいつを見据えるのか?

千葉カントリークラブ梅郷コースで開催された国内男子メジャー第3戦「日本オープン選手権競技」を制した池田勇太。2009年のメジャー「日本プロ選手権 日清カップ」でツアー初勝利を挙げ、キャリアにおいて6年連続の優勝をメジャーの舞台で飾った。

輝かしいアマチュアタイトルを引っさげ、07年末のプロ転向後に積み上げた勝利数はこれで12。生涯獲得賞金は6億円を超えた。国を代表するゴルファーであることは実績が証明している。だからこそ期待されるのが主戦場のステップアップだが、池田は米ツアーを中心とした海外進出について、まだ“準備段階”だと強調する。

「レギュラーツアーに出始めたころ、09年当初を思い返すと、周りを見向きもせずに2年で8勝(09年、10年に4勝ずつ)した。海外メジャーにも行って、これが当たり前だという感じでいた」。10年にはメジャー全4戦に出場。初参戦の「マスターズ」を堂々の29位で終えるなどしたが、参戦に踏み切れない理由はその後の苦悩によるものだという。

「11年以降勝てなくなって、メジャーに行けなくなって今がある。(海外での試合を)1回経験して、こういう舞台があって、こういうところでやりたいという心をくすぐられた。でもそこに行くためには、日本でまだ頑張れていない自分がある」

09年に日本ツアーの2枚看板として賞金王の座を争った石川遼が海を渡り、昨年は東北福祉大の後輩である松山英樹が米ツアーデビューから早々に初勝利を飾った。一つ一つの技術をみれば、彼らに負ける気はない。

ただ一つ、池田がこだわるのは日本での確固たる地位だ。「日本で“強い池田勇太”を作ってから行きたい。今回『ナショナルオープン勝ったから行きましょう』じゃないんだ。(09、10年)当時みたいに2勝、3勝…として賞金王獲って、“鳴り物入り”で行かないと面白くないよ。オレはそこだと思う。オレはそれをもう一度狙ってる」

「来年(12月)、もう30だ」と言う一方で、「まだ30歳」という見方ができるのがプロゴルファーでもある。「野球なんかも下積みがある。そういう生き方が正しいんじゃないかなって。尻つぼみになるのは、カッコよくない。40で行ったっていい。自分がそこまで技量と精神的な強さをくっつけて、日本から出ていくのもアリだと思うし」

まだ賞金王も獲っていない、他を圧倒する力を蓄えられていない。強気な発言ばかりがクローズアップされる裏で、最も謙虚に自分を見つめているのは池田本人かもしれない。

日本オープン覇者には翌年の「全英オープン」の出場権が付与される。2015年の舞台はゴルフの聖地。「また来年、セントアンドリュースかぁ。1回行ったから、他のところ行きたいなあ」。そんな挑戦の熱が沸点まで到達する瞬間も、ファンは待っている。(千葉県野田市/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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