世界ゴルファーへの原点 前年覇者・川村昌弘の強い決意
今から3週間前、9月第1週にスイス・クランスシュルシエレGCで開催された欧州ツアー「オメガ・ヨーロピアン・マスターズ」に出場した川村昌弘は、アルプスの雄大な景色を前に確信を深めていた。「やっぱりここだな。14歳のときに思ったことは、間違っていなかった――」。
14歳のとき、川村はスイスとフランスの国境付近にあるエビアンで行われた、「第1回エビアン選手権ジュニアカップ」に出場した。現在は米国女子メジャー「ザ・エビアン選手権」が開催されているコースが舞台。個人戦で優勝、団体戦でも優勝という成績だけが印象に残ったわけではない。「こういうところでゴルフがしたい」と、そのときに、今に続く欧州志向が植え付けられた。
今年の川村は、小さなオープン競技も含めると年間40試合を超えるトーナメントに出場する。日本ツアーだけでなく、欧州ツアー、アジアンツアー、米国男子ツアーと世界を股にかけたゴルフ旅だ。
そのきっかけとなったのは、昨年の「アジアパシフィックオープン ダイヤモンドカップ」。プロ初優勝を飾ったのが、アジアンツアーとの共催試合だったというのは偶然ではない。「この試合が目標だった。(上が崩れて)最後、優勝が転がり込んできた形だったので、縁(えん)は感じましたけど」と、アジアから欧州へと続く道を切り開いた昨年大会を振り返った。
今年、ロシアで出会ったスウェーデン選手は、これまで53カ国でゴルフをしてきたという。「僕もそういうことがしたい」。21歳の川村は希望に目を輝かせた。
連戦ゆえに、今ゴルフの調子は万全ではない。だが、今週はディフェンディングチャンピオンで、なおかつスポンサーである三菱商事が主催するホスト大会という大事な一戦。「最近は予選落ちばっかりだけど、今週は落ちられない。4日間やって、この試合をきっかけにしたい」。疲れた体に強いムチで気合いを入れた。(茨城県板東市/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka