塚田陽亮、苦手意識が奏功した好スコア
今季の男子ツアー開幕戦を制した塚田好宣ではなく、塚田陽亮(つかだ・ようすけ)という選手をご存じだろうか。2008年にプロ転向を果たし、5年目を迎えるプロに対して失礼な言い方かもしれない。しかし“塚田プロ”と声をかけられると、当の本人が「自分は陽亮ですよ。好宣プロじゃないですよ」と笑顔で答え、ファンとの積極的なコミュニケーションで自ら売出し中だ。
5バーディ3ボギーの2アンダーでラウンドし、首位と2打差の4位タイにつけた「コカ・コーラ東海クラシック」の初日は、「早く多くの方に覚えてもらわなきゃ」とアピールにも熱が入った。生まれは長野県だが、中学校はゴルフを習うために群馬県に移り住み、中学3年生の時に武者修行で渡米し、フロリダ州のIMGアカデミーで腕を磨いたという。
この華やかな経歴には、異色の続きがある。「知っていますよね、名商大、自分そこに通っていたんですよ」と、彼方を指さしながら続けた。米国から戻ってプロ転向までの間、今週の会場となる愛知県の三好CCに隣接した名古屋商科大学に進学し、ゴルフ部に所属していたというのだ。
この日は、多くの選手が手を焼いた終盤の15~17番で3連続バーディを決めてリーダーボードを駆け上がったが、てっきり地の利かと思いきや…。
「ここはゴルフ部の練習で使わせていただいてたので、数え切れないぐらいラウンドしています。でも、当時は80台も出るし、70台前半のスコアなんて記憶にないですね。だから、みんな難しいと言ってますけど、自分とはレベルが違うんですよ。自分の頭の中のイメージでは、世界で一番難しいゴルフ場ですから」
過剰なまでの苦手意識を真顔で強調し、「だから3連続バーディなんてラッキーしかないし、自分自身よく頑張ったって感じですよ」と満面の笑みで、この日のプレーを自画自賛した。
現在28歳。年齢はそろそろ中堅クラスにさしかかってきたが、ツアーにフル参戦するのは2010年以来2年目で、現在の賞金ランキングは72位。明るく快活な語り口の裏には、ノドから手が出るほど結果がほしい必死さもにじむ。
「今日も年下2人とラウンドでしたが、年齢関係なく日々勉強しています。まずはシード権を獲得できるように、安定した成績を残せるように頑張ります」と、2日目以降へ気合いを入れ直した。(愛知県みよし市/本橋英治)