副キャプテンの心意気「俺が今週頑張るより…」
国内男子ツアーの賞金王レースを独走する松山英樹は、19日(木)に開幕した「ANAオープン」を戦い終えると、次週に渡米。10月第2週に開幕する来季の米ツアー参戦に備えるが、まずはその前週3日(木)から世界選抜チームの一員として、米国選抜との対抗戦「プレジデンツカップ」を戦う。
そして名誉あるこの団体戦に参加する日本人がもう1人。丸山茂樹は、世界選抜のニック・プライス主将を支える副キャプテンとして、チームに加わることになる。
その丸山は今週、主催者推薦によりANAオープンに参戦。昨年末にシード権を失い、今季は故障を癒しながらシーズンを過ごしており、この試合が7月の「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント」以来、まだ2試合目だ。
痛めている左手親指の付け根部分は、ラウンドを進めるごとに腫れが増してしまう。そのため普段からストロング気味に握るグリップは、プレー中に次第にウィークになり、スタートホールと最終ホールでは感覚がまるで違う。この故障がなかなか改善しない。
4バーディ3ボギーの「71」、1アンダーの42位タイで終えた初日のラウンド後も「ここに入ってくるまでのフィーリングでやれたら良かったけど。調子良く試合に入って、これじゃなぁ。悔しい。痛いだけなら我慢できるけど、腫れてしまうと…」と、肩を落とした。
丸山は今大会開幕2日前に松山、深堀圭一郎と練習ラウンドをともにし、アドバイスを直接送った。「ヒデキに頼まれちゃったからね。俺が今週頑張るよりは、あいつをプレジデンツカップで頑張らせたい。“助監督”の思いがある。頼まれたらイヤとは言えないよ」。
その練習ラウンドは、ケガの具合や体力面もあって、丸山自身のプラスに働く要素はなかったはず。それでも、やるべきことだった。そして同世代の深堀も「自分たちに今できることは、昔とは違う」と思いを共有した。
もちろん、今週も黙って予選落ちする気はない。「4日間はやりたいなあ。輪厚の空気を吸って帰りたい」と力強く言った。
「まあ、4日って限定すると、火、水、木、金…(予選落ち)になっちゃう。(週末までの)6日って言いたい。そこ、大事なとこだから。意外とセンシティブな、おとめ座のB型だから。頼むよ」。周囲を笑いの渦に巻き込む丸山節は健在だ。
プレジデンツカップはチームワークが問われる団体戦。特に世界選抜は、全選手が英語を母国語としているわけではなく、毎回コミュニケーションが大きな課題とされてきた。独特のユーモアが武器の副キャプテンは、朴訥で、ちょっぴり不器用な21歳を大いにサポートしてくれるはずだ。(北海道北広島市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw