ジャンボがくすぐった飯合肇のハート 2季ぶりの予選通過
15センチ切れる、2メートルのスライスライン。渾身の思いを込めたパーパットは、人もまばらな最終18番で、乾いた音を立てた。愛知県の名古屋ゴルフ 和合コースで開催中の「中日クラウンズ」2日目。59歳の飯合肇が予選カットライン、ギリギリの通算10オーバー55位タイで決勝ラウンドに進出した。
現在はシニアツアーを主戦場としている飯合は、レギュラーツアーでは2011年の「ブリヂストンオープン」以来となる予選通過。この日は最終組でプレーすると、前半で3つスコアを落とす。後半出だしの10番から2連続バーディを奪ったものの「予選を通過したいと思ったら、急に難しくなるもんだ」と12番でダブルボギー、さらに14番から4連続ボギーを叩いた。
それでも最終ホールで第2打をバンカーに入れながら、意地のパーセーブ。ホールアウト後、クラブハウスに引き上げると後輩たちが次々と駆け寄ってきた。
通算11勝(ツアー制施行後)の名手、歴代賞金王のひとりである“コング”といえば、ジャンボ軍団の一員。前週の「つるやオープン」初日、その尾崎将司がエージシュートに留まらない「62」を叩き出し、大騒ぎになった。
「やっぱり、さすがだよ」。前週木曜日、快挙は自宅で知った。「明日の新聞が楽しみだなぁと思っていたら、全部一面だったね。自分は、それで今週を迎えられたから。初日をトップで上がりたいなあって思ってたんだけど」。推薦で出場した今大会への意欲はたっぷり膨らんだ。「飛ばしや、他も、ジャンボに負ける要素はないから」。
足取り軽くロッカーへと消えた飯合。「今日最後で、明日トップスタート(第1組)ってのはキツイけどね。でも、回れるから!」。多くの後輩たちが、ひれ伏したジャンボの偉業は、シニアプレーヤーたちを少し若くした。(愛知県東郷町/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw