“機は熟した”宮里優作がチャージをかける
国内男子ツアー「東建ホームメイトカップ」は2日目が強風のため、各選手スコアメイクに苦しんだが、初日と3日目はバーディ合戦。そして、最終日は雨も降る予報で、2日目のように耐え凌ぐ戦いが予想される。
その展開を大会前から待ち望んでいた男がいる。プロキャディの杉澤伸彰氏だ。今大会が始まる前の会場内は「マスターズ」直後で、アダム・スコット(オーストラリア)がプレーオフを制し、初のメジャータイトルを獲った話で持ちきりだった。
正規の最終18番でキャディのスティーブ・ウィリアム氏がスコットにラインのアドバイスを的確にしたこと。そしてプレーオフ2ホール目でのスティーブの立ち振る舞いを見て「あれはスティーブしかできない。自分もスティーブのようなキャディになるのが目標なんです」と熱く語る。
そして雨のマスターズ最終日、スコアを伸ばした選手と伸び悩んだ選手を引き合いに出した。「スコット、アンヘル・カブレラ、それにジェイソン・デイ。彼らの共通点は“鼻息が荒い”こと。彼らは雨が降ったぐらいでも交感神経の高まりをセーブできるので、100%の力が発揮出来るんですよ。タイガー・ウッズやブラント・スネデカーは雨が降ると、闘志が鈍ってしまうタイプなんです」。
以前は丸山茂樹のキャディとして米ツアーはもちろん、数多くのメジャー大会に出場してきた経験から独自の分析を行う。さらに「日本にもスコットと同じようなタイプの選手がいますよ。宮里優作です」と。宮里もスコットもショットメーカーで、つねにベストスイングでベストショットを目指すがゆえに、集中力が高まり過ぎる(熱くなる)と、ちょっとしたミスから自分を追い込んでしまう傾向がある。
その宮里とコンビを組んで3年目のシーズンを迎えた。「あのスティーブでさえ、スコットをメジャーで勝たせるために2年半かかっているんです。自分も優作と組んでちょうどいい時期に来ていますので、この3年目で結果を出しますよ!」。その自信は絵空事ではない。杉澤氏と組んでからの宮里はプレー中の笑顔の頻度が増し、ラウンド後も肩の力を抜いた穏やかな表情が目立つようになった。
今大会3日目、12番パー5でバンカーから直接放り込みイーグルを奪うなど、6ストローク伸ばして首位と3打差の通算5アンダー4位タイに浮上した。最終日、予報通りの雨になった場合、宮里がチャージをかけることができるか、勝算は杉澤氏のキャディ力にも関わってきそうだ。(三重県桑名市/本橋英治)