逆転優勝の谷口徹「勝因は諦めない気持ち」
「ブリヂストンオープン」の最終日、2番で6mのバーディパットを決めた谷口徹は、右手の拳を力強く握りしめりガッツポーズをみせた。続く3番でもバーディを奪い、この時点で首位スタートの藤田寛之を捕らえた。
スタート直後からガッツポーズを出す谷口は、気合いのこもったプレーを続け12番までに11アンダーとして頭一つ抜け出した。ところが、13番、14番の連続ボギーで再び首位の座を藤田に奪われると「死ぬ気でバーディを奪いにいくしかない」と、さらに気合いを込めて終盤に挑んだ。
16番パー5で10アンダーとした谷口は、首位と1打差で17番パー3を迎えるとティショットは「昨日がキャリーでオーバーしてしまったので、距離を合わせにいったらテンプラ気味でショートしてしまった」と、グリーン手前のラフに捕まった。アプローチは今ひとつ寄せきれず3m残し「これを外したら終わりや」と気持ちを込めて放ったパーパットが決まった瞬間、またしても派手なガッツポーズが飛び出した。
そして最終18番、1983年のハワイアンオープンで青木功が出した奇跡のチップインイーグルと同じように一発で試合を決める劇的なイーグルが飛び出した。ラウンド後の谷口は「今日はいろいろあったけど、最後まで諦めなかったのが勝因です」と力強く語った。
スタートから早々にスコアを落とし肩も落とした選手。1番のティショットで3番ウッドを手にし、安全に行くはずが左に曲げてしまう選手など、彼らが決して気を抜いているとも思わないが、1打に対する気迫という点で谷口は誰よりも熱いものを放っていた。
ラウンド中に何度も繰り出すガッツポーズ。そして、勝負どころの17番パー3でパーセーブをした時のそれこそが、最終18番の奇跡を呼び込む力となったに違いない。(千葉県千葉市/本橋英治)