苦肉の策!前代未聞の変則プレーオフ
国内男子ツアー「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN 涼仙」は大会3日目が雷雲接近のために競技が中止。そして最終日も10時28分から、雷雲接近のため競技が中断された。12時40分に再開されたが、「あの時間が本当に最後のチャンスだったよね」、今大会のツアーディレクターを務める中島和也氏はそう振り返る。
しかし、ツアー運営側の計算通り18時前には最終組がホールアウトしたが、池田勇太と呉阿順(中国)によるプレーオフが決定した。日没が近づいていることもあり、運営側は投光機を2機準備し、3ホール目からは常用カート5台のヘッドライトも追加して選手たちのプレーをサポートした。
照明を使うことは過去に何度もあることだが、プレー方法が極めて珍しい変則方法となった。18番パー5を使用することは、事前に告知されていたが、その1ホール目を互いにパーで分けると「2ホール目はグリーンのフロントエッジから145ヤード地点からの勝負になります」とアナウンスが入る。
18番グリーンを取り囲んだギャラリーの表情は“?マーク”だらけ。すると前述の中島氏が水のペットボトルを2本用意し、145ヤード地点に置いて仮想ティグラウンドを作成した。3ホール目は100ヤード、そして4ホール目はピンまで45ヤードのアプローチ勝負となった。結局この4ホール目で決着がついたが、中島氏は「あの次はもうグリーンのカラー付近からしかないかなと思っていました」と言う。
このルールについては、ツアーディレクターの判断で決めることになっており、「あの時間からのプレーオフですから、こうするしかなかったと思います。過去には例がないですが、選手には18番でやると通達してあったので、ルールはその場で説明しました」と話す。
結果的には“4ホール”を要してしまったため、通常のルールで戦っていたら2ホール目で決着がついていたのかもしれない。しかし、18時20分には完全に日没し、勝負がついた時には足下を確認しながら歩かなければならない状態になっていた。通常ルールで4ホール戦っていたら、さらに1時間は要したはずだ。雷対策、そして暗闇対策と今週の大会は安全第一を遵守した素晴らしい大会となった。(三重県いなべ市/本橋英治)