2012年 〜全英への道〜ミズノオープン

鈴木亨、46歳の自分改革

2012/06/21 21:10
大会ホストプロの鈴木亨。「ミズノオープンへは20年以上の思いがある」。

46歳の鈴木亨は、これまでの長いプロゴルファー生活を“不言実行”で取り組んできたという。「自分は有限実行タイプではなく、あまり語らず、サラッとやる性格でやってきた」。ところがツアー8勝のベテランは突如、JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部で開幕した「~全英への道~ミズノオープン」で、「この大会は優勝、ミズノ契約プロとして、ここで勝ちたい」と力強く宣言した。

これまでのスタイルを変貌させるような決意を後押ししたのは3週前。「日本ゴルフツアー選手権」での出来事だったという。

同大会の2日目は、あいにくの悪天候による日没サスペンデッド。4ホールを翌日に積み残した鈴木は、予選通過が微妙な位置。決勝に進むためには難コース、宍戸ヒルズで、その4ホールをパープレーで上がる必要があった。

するとその夜、思わず吐いた弱音に知人が反応した。「お前はそこがダメだ。まだやってもいないのに決め付けないほうがいい」。何のことは無い言葉だが、不言実行スタイルでやってきた鈴木の胸には強く響いた。「今年は1打差で予選落ちすることも多くて。今まではそうやって語らずに、予防線を張るようになっていた。でもプレーしたら、4ホールパーで、予選を通って、終わってみたら20位だった」。そして思った。「やればできるじゃないかって」。

これまでのプロ生活を振り返り「8勝したけど、本当に勝ちたい、と思って勝ったことは無かったんだと思う。だってプレーオフで4回も負けているんだから」と苦笑いを浮かべる。だから、今大会は新たなプロ人生を歩むためのスタートだった。この日は、降雨によるコンディション不良の影響で約30分の中断を強いられたが、コース上で冷たい雨に打たれながら再開を待った。「勝つために来たんだ、と自問自答しながらね」。

藤田寛之谷口徹。40代の活躍が目覚しい昨今。だが大会ホストプロでもある鈴木は「若くないとは思っていない」とはっきり言う。老け込むのか、それとも? 最初にそれを決めるのは自分の心の持ちようということだろうか。(岡山県笠岡市/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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