“勇太世代”の次なる刺客は?
諸藤将次が悲願の初優勝を飾った前週の国内男子ツアー「フジサンケイクラシック」。池田勇太と同学年の選手としてアマチュア時代に脚光を浴びてきた26歳の初勝利は今季の男子ツアーのひとつの明るい話題となった。
抜群の飛距離を武器に、将来性豊かな若手の活躍に刺激を受けた選手も多く、8日(木)に開幕した今週の「TOSHIN GOLF TOURNAMENT IN LakeWood」では、高校時代にライバル関係にあった同じ飛ばし屋の津曲泰弦が首位に3打差の4位発進と奮闘。そして、2アンダーの29位とまずまずのスタートを切った岩井亮磨も、彼に刺激された一人と言っていい。
岩井は福岡・沖学園高時代は諸藤と同期、そして東北福祉大では池田勇太とチームメートだった。しかし「東の池田、西の諸藤」と2人が学生ゴルフ界にその名をとどろかせていた一方で「僕は高校、大学時代は彼らの下でやっていた人間」と言う。“前週までの”諸藤同様、いまだシード権を確保したことはなく、今季も予選通過と失速を繰り返している。
同い年の関係は繋がりが強い反面、他人には理解しにくい複雑な対抗心に満ちているようだ。それが個人競技のアスリート同士ならなおさら。「諸藤、勝ちましたね。嬉しい反面、悔しい思いがある。また先に行かれてしまった」という心境は誰もがうなずけるはずだ。
けれどその尽きることのないライバル心は、それぞれの危機感にも似た闘争心を高めてくれるのも事実。岩井には、池田のような抜群の爆発力、諸藤のような規格外の飛距離は無いが「アイアンから下で勝負。パターは好きなので」と自己分析。「メリハリをつけて、獲るところは獲る、我慢するところは我慢」と冷静にそのチャンスをうかがっている。
1985年生まれといえば、日本ゴルフ界で先に台頭したのが宮里藍、横峯さくららの女子選手たちだった。池田が牽引してきた男子世代は、“遅ればせながら”存在感を光らせることができるだろうか。(三重県津市/桂川洋一)
■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール
1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw