自己ベストタイ「64」を叩き出した松山英樹の目標は?
北海道の小樽カントリー倶楽部で行われている国内男子ツアー第10戦「サン・クロレラクラシック」3日目。通算14アンダーの単独首位に立った池田勇太とともに、アマチュアの松山英樹がコースレコードにあと1打に迫る「64」をマークした。
前週の「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント」で今季初のプロツアーに参戦し予選落ち。悔しさを晴らすべく今週、小樽に乗り込んできた松山はムービングサタデーにビッグスコアを叩き出した。10番からの“裏街道”スタートとなった3日目、出だしで2メートルを決めてから2連続バーディ。3ホール目の12番(パー3)でティショットをバンカーに入れボギーを叩くが、その後猛攻を見せた。
残り70ヤードの第2打を1メートルにつけた14番から2連続バーディとすると、後半アウトは5つのバーディを量産。アイアンショットにキレが戻り、パットも好調でリーダーズボードを駆け上がる。最終9番(パー5)で2オンに成功し、4メートルのイーグルパットを沈めれば昨年大会の第3ラウンドで石川遼がマークしたコースレコード「63」に並んだが、惜しくも外れて、息を吐いた。
「コースレコード?遼ですよね。知っています」とラウンド後の松山。自己ベスト更新も逃し、ちょっぴり残念そうな顔も浮かべたが、周囲のプロたちは驚きを隠せない。単独4位の井上忠久は「スーパーアマチュアはすげえの出すなあ」。そして東北福祉大の先輩、池田はラウンド中にスコアボードで後輩の名前を見つけ「何をやってんだ、こいつは…と思った」と、半ばあきれ顔だった。
しかし当の本人は「出だしのバーディパットが入ったのが大きかった」と淡々。通算8アンダーの6位タイに急浮上したが、今大会の目標を聞けば「ローアマ(ベストアマチュア賞)どうこうより、先輩に勝ちたいです」と言う。その“先輩”とは池田や岩田寛らの卒業生プロではなく、現在東北福祉大のキャプテンを務める藤本佳則。この日「68」をマークして通算6アンダー、14位タイで最終日に入る2学年上のトップアマチュアだ。藤本は今年の「日本アマチュアゴルフ選手権」で準優勝。「試合であまり勝てていないので、先輩に勝ちたい」と繰り返す。
一方の藤本は「トップ10を目指したい。ローアマは同じ大学なので、どっちでもいいかな」と舌を出しながら“大人の”コメント。それにしてもプロ、アマを問わず同大学出身の選手の活躍が特に目立つ今大会。「松山と藤本は2打差?じゃあ、まだどっちが勝つか分からないね」と教え子たちの争いに目を細める阿部靖彦監督。選手たちが切磋琢磨して育っていく豊かな土壌を感じさせている。【北海道小樽市/桂川洋一】