2021年 日本プロ

シード落ち、手術、PGAツアーでキャディ…大堀裕次郎「もう失うものはない」

2021/07/02 18:55
久々にレギュラーツアーで活躍。大堀裕次郎が上位で決勝ラウンドへ

◇国内メジャー◇日本プロゴルフ選手権 2日目(2日)◇日光カンツリー倶楽部(栃木県)◇7236yd(パー71)

かつて松山英樹石川遼と同学年の選手として注目された大堀裕次郎は、大学卒業の2014年のプロデビューから未勝利のまま時間が過ぎた。2019年末にはシードを喪失。原因になったのが当時“再発”したショットのイップスと、ひそかに抱えていた故障だった。

18年の合宿中、トレーニングをしていた時に右足首に痛みを覚えた。当初はねん挫と高(たか)をくくっていたが、検査した結果、かかと付近にある余計な骨を取り除く必要があったという(三角骨障害)。「手術をしないでやっていたら違和感がずっとあった」と、ようやく決断して昨年のクリスマスにメスを入れた。クラブは3カ月近く握れなかった。

出場できる試合のあてがないまま2月に米国にわたり、PGAツアーで戦う小平智に帯同してフロリダで汗を流した。「ホンダクラシック」ではキャディを務め、同じ組のビジェイ・シン(フィジー)、スティーブ・ストリッカーといったレジェンド選手からも勉強。「余裕もあるはずだけど、心に波風を立てずにプレーしていた。『こういう気持ちでやればいいのか…』と思った」と一歩引いた目線でゴルフを眺めることができた。

下部AbemaTVツアーが主戦場となったいま、今大会は大会当週月曜日の予選会で出場権をつかみ、71位から出た2日目に「64」をマーク。一昨年の9月以来、遠ざかっていたレギュラーツアーでの60台をマークした。「もう失うものはない。きょうも思い切ってやろうと」。ティショットを左サイドのフェアウェイバンカーに入れた最終18番、PWでの2打目をピンそば1mにつけるバーディフィニッシュで首位とは2打差、通算6アンダーの7位で決勝ラウンドを迎えられる。

大阪学院大時代の同級生、木下稜介が直近2試合で初優勝、2勝目を挙げた。「『お前もきっとできるはず』と言ってくれる人たちがいる」と刺激にならないはずがない。「(木下の)鼻を折ったらな、ダメですね(笑)。あしたからも攻めるのみです」。苦労を知るぶん、喜びはきっと大きい。(栃木県日光市/桂川洋一)

■ 桂川洋一(かつらがわよういち) プロフィール

1980年生まれ。生まれは岐阜。育ちは兵庫、東京、千葉。2011年にスポーツ新聞社を経てGDO入社。ふくらはぎが太いのは自慢でもなんでもないコンプレックス。出張の毎日ながら旅行用の歯磨き粉を最後まで使った試しがない。ツイッター: @yktrgw

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