塚田好宣、これが私の生きる道
アジアンツアー、いやタイと言えばこの人の顔が思い浮かぶ人は、かなりゴルフ通と言っていいだろう。塚田好宣、43歳。1969年生まれは、今をときめく賞金王の藤田寛之と同い年だ。
04年からアジアンツアーに参戦するようになり、シーズン最高位は09年の69位。それでも、積極的に海外へと繰り出し、今では流暢なタイ語も操る。今年は自身のウェアを自らデザインして小ロット制作をしたり、ズボンもここタイで仕立てさせたりと、すっかり地元民のように溶け込んでいる。
そんな塚田だが、海外挑戦の志を支えているのは、上へ上へという向上心だ。「日本のレベルが一番上なら日本だけでやっていてもいいけど、そうじゃない。藤田みたいにメジャーにちょこちょこ出られるわけじゃないから、僕のレベルなりに出掛けていって試合に出ています」。その貪欲さは、資格さえあれば世界のどこででも喜んでプレーするようかのような勢いだ。
今年、日本ツアーは賞金ランキング53位でシードを獲得。しかし、アジアンツアーは先週からメンバーとして参戦を開始したため、現在の賞金ランキングは165位(それ以前の賞金[アジアパシフィックパナソニックオープンなど]は、加算されない)。シード獲得の60位以内に向けては今週を含めた残り2試合での上位フィニッシュが求められる。とはいえ、本人はすでに1月の予選会出場を前提にしているのだが。
それにしてもこの人の場合、まずプロゴルファーというライフスタイルを満喫しようという心意気が感じられる。それは、「この世界で長生きすること。同年代で最後まで生き残りたい」という目標とも関係しているのかもしれない。「史上最年長で自力シードを獲ったりね。藤田の次は俺かな(笑)」と、まだまだじっくりとこの世界に腰を据えるつもりだ。
「タイランドゴルフ選手権」初日、2アンダーと上々の滑り出しを見せた塚田が、せっかくタイに来たのだからとこの日の晩御飯に誘ってくれた。もちろん、喜んで是非!と答えたものの「ちょっと遅くなるかも知れません」と予防線を張った筆者。すると、「そんな仕事ばっかじゃなく、楽しまなくちゃ!」と満面の笑みで肩を叩かれた。こんな素敵なゴルファー、そんなザラにはいませんよ!(タイ・チョンブリ/今岡涼太)
■ 今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール
1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka