2018年 ヨーロピアンオープン

兄も喜ぶ全英制覇 モリナリ兄弟とウッズの関係性

2018/07/26 12:00
2006年のマスターズでフランチェスコ・モリナリ(中)は兄エドアルドのキャディを務めた(Andrew RedingtonGetty Images)

「全英オープン」でイタリア勢初のメジャー優勝を遂げたフランチェスコ・モリナリ(イタリア)の快挙を、実兄のエドアルド・モリナリが喜んだ。欧州ツアーにコメントを寄せ、弟の冷静な試合運びをたたえ、兄弟プロの関係性に胸を張った。

欧州ツアー3勝のエドアルドは全英オープンへの出場権がなく、最終日の様子は自身の家族とテレビで観ていたという。「フランチェスコはスタート時に何打差(3打差)かあったから、一番チャンスがある選手だとは思っていなかった。でも風が強くなってタフな状況になった。それこそがフランチェスコが一番良いプレーをするときなんだ。『ボギーをたたかない』というマネジメントをすれば、大きなチャンスがあると思っていた」

最終日は序盤にタイガー・ウッズが抜け出し、単独トップでハーフターンしたが、11番のダブルボギーをきっかけに後退した。戦況は一気に混戦となり、モリナリは通算6アンダーで首位タイに浮上。13番まで、ひとりパーを並べ続けた。兄は「僕は12番と13番でパーパットを決めたのが大きかった。あれでトップに残れた」と分析。「14番(パー5)はフォローであれば10回のうち9回はバーディが獲れる。1打リードできると思ったし、実際に彼はやってみせた。良いプレーをしていたから、最後の4ホールもボギーをたたかないと思ったよ。そうなれば皆が彼を捕えるのは難しい。それがカーヌスティの難しさだから」

「彼はずっと落ち着いていたと思う。そういう状況になればだれでもナーバスになるけれど、彼は落ち着いていたし、自信にも満ちていた。何週間も良いプレーを続けていたし、以前にもこういう位置につけたことがあった。勝つために何をすべきか分かっていたはずだ」。5月以降、欧米ツアーで1勝ずつを挙げた好調さも勝利を確信させる要因になった。

兄は試合後、すぐにメッセージを送った。電話がかかってきたのは翌月曜日(23日)の夜のこと。「15分くらい話した。両親も夢見心地だったよ。両親にとっては人生でもっとも誇らしい瞬間のひとつだったはず。これから僕たちがもっと勝って、彼らを喜ばせたい」

メジャー制覇の後、ソーシャルメディア上で話題になったのが、エドアルドがウッズと同組でプレーした2006年「マスターズ」のときの写真。当時、キャディを務めたのが弟だった。前年の「全米アマチュア選手権」王者は、オーガスタでディフェンディングチャンピオンと予選同組で回るのが慣例。フランチェスコは兄より先にプロ転向し、欧州ツアーの初年度をプレーしていたが、「それまでにも僕らは互いのキャディをやったことがあって、『どちらかが先にマスターズに出場したら、片方はキャディをやろう』と決めていた」という。「約束通り彼は僕と一緒に来てくれて、タイガーと回った。素晴らしい時間だった。若いアマチュアと、ツアープロ1年生が、突然オーガスタの1番ティでタイガーと一緒なんだよ! 僕らにとってすごい経験だった」と思い返した。

「フランチェスコはいつもイイやつで、他の選手からも好かれている。一生懸命練習をして、みんなから尊敬されている。カーヌスティで得たものに値する。フランチェスコとワールドカップやライダーカップで一緒にプレーする関係にあることは僕の特権だね。僕らはずっと互いにできる限り助け合ってきた。この1勝で終わらずに、もっと続けばいいと願っている」。エドアルドは今週、ドイツで行われる欧州ツアーの「ポルシェヨーロピアンオープン」に出場する。(ドイツ・ヴィンゼン/桂川洋一)

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