次世代を担うスター候補たちの台頭/2010年欧州男子ツアーレビュー
2010年は世界の男子ゴルフ界を引っ張るパワー、リーダーの勢いを感じる事が多かったヨーロピアンツアーのメンバー達。いろいろな活躍や出来事が、一年を通じて続いていった。
まずは4大メジャー競技で、3つのビッグタイトルを欧州ツアーメンバーが奪取した所が、層の厚さを証明していた。ペブルビーチで開催された「全米オープン」の死闘で勝ち上がったのは、北アイルランドのグレーム・マクドウェル。セントアンドリュースでの「全英オープン」は、南アフリカのルイ・ウーストハイゼンが、イングランドのポール・ケーシーやリー・ウェストウッドを下して7打差の圧勝。そして、最終メジャー戦「全米プロゴルフ選手権」は、ドイツのマーチン・カイマーが落ち着いたプレーぶりでプレーオフを制し、25歳の若さでメジャーチャンピオンに輝いた。
2007年の欧州ツアー新人王に輝いたカイマーは、2010年シーズンに中東アブダビ、全米プロ、KLMオランダ、ダンヒルリンクス選手権と、シーズン4勝を挙げて欧州賞金王「レース To ドバイ」に輝いた。カイマーは、賞金王ボーナスを含めて446万ユーロを稼いだ。
「全米オープン」で優勝したマクドウェルも、ビッグタイトルの他に「ケルティックマナー・ウェールズ・オープン」と、シーズン終盤の「アンダルシアマスターズ」で勝利。シーズン3勝を挙げて、ランクトップのカイマーにプレッシャーを与えて賞金王争いに迫ったが、逆転には及ばなかった。しかしマクドウェルは、欧州対抗戦「ライダーカップ」で最終日に勝利を決めてポイントゲッターとなる大活躍や、タイガーがホストを務める「シェブロンワールドチャレンジ」でタイガーを破り120万ドルを獲得。シーズン最後まで勢いを見せてくれた。
2010年シーズンは欧州ツアーでの優勝はなかったものの、過去2年間に安定して好成績を残していたリー・ウェストウッドが、10月31日に世界ランクトップに立った。5年以上、世界1位の座に君臨していたタイガー・ウッズがランクダウンになった事は、秋のビッグニュースとなっていた。
他にも欧州ツアーでは、46歳のミゲル・アンヘル・ヒメネスが3勝をして、いぶし銀のベテランパワー健在をアピール。また2009年の「ワールドカップ」で優勝したイタリアのモリナリ兄弟が、それぞれツアー優勝を果たし、「ライダーカップ」に兄弟出場するという素晴らしいシーズンを送った。
イタリアといえば、17歳でプロ転向したマッテオ・マナッセロの活躍も忘れてはならない。16歳最後のアマチュア競技となった「マスターズ」では4日間を戦い抜き、36位と堂々たる結果でローアマチュアに輝いた。17歳になった5月、自国の「イタリアオープン」でプロデビューを果たすと、参戦6試合目の「オメガ・ヨーロピアン・マスターズ」で3位に入り来季のシード権を確保。10試合目の「カスティーヨ・マスターズ」では欧州ツアー最年少優勝、11月の「香港オープン」で2位に入るなど、破竹の勢いで賞金ランクを31位まで上げた。途中参戦ながらルーキー・オブ・ザ・イヤー(新人王)を受賞する活躍は、新たなスター候補の誕生を予感させた。
2010年シーズンは、賞金ランク対象試合が48試合だった欧州ツアー。内訳は欧州26試合、アフリカ5試合、中東4試合、アジア7試合、アメリカ6試合。賞金ランクシードは、117位だったマーク・F・ハストープが稼いだ20万3322ユーロ。7試合に参戦して、11万4393ユーロを獲得した平塚哲二は、賞金ランク144位で終了。2011年はカテゴリー12(準シード)という出場資格を取得している。