「最高の友達」に捧げる全英V ステンソンが帽子につけた黒いリボンの理由
ロイヤルトゥルーンで行われた第145回「全英オープン」を制し、男子スウェーデン人選手として初めてメジャー制覇を成し遂げたヘンリック・ステンソンは、その優勝を大会直前に他界した友人に捧げた。
友人のマイク・ガービッチさんが癌との闘病生活の末、水曜に他界した。40歳のステンソンは彼を悼み、4日間を通して帽子に黒いリボンの喪章をつけてプレーした。
友人への思いを胸に、敬意を帽子に掲げてプレーしたステンソンは最終日を「63」で回り、記録破りのパフォーマンスを披露。4日間のスコアをメジャー新記録となる「264」として、フィル・ミケルソンとの一騎打ちを制した。
通算20アンダーは「全英オープン」史上の最多アンダーパーでもある。劇的な勝利を挙げたステンソンはクラレットジャグ(優勝トロフィ)を携えると、世界中のメディアに向けて開口一番、その勝利を友人に捧げた。
「彼は、ドバイに住んでいたときに知り合った最高の友人の一人だった」とステンソン。「彼とはとても長い付き合いだ。熱心なゴルファーであり、すばらしい人だった」。
「長い間、癌との闘病を続けていた。火曜にもう長くはないという一報を受け、不幸にも水曜に米国で亡くなったんだ」
「彼は常に僕の大きなサポーターでいてくれた。良いときも悪いときも常にメッセージを送ってくれたし、何度か大会にも来てくれたんだ」
「もちろん、この勝利は彼に捧げるよ。今週、僕はずっと彼と一緒だったように感じていた」
「レース・トゥ・ドバイ」と「フェデックスカップ」を同年に制覇し、2006年の「ライダーカップ」では勝利を決めるパットを沈めたステンソンにとって、トゥルーンでの勝利は、輝かしいキャリアにおける新たな達成となった。
未勝利に終わった2015年を経て、6月の「BMWインターナショナルオープン」で久々の勝利を飾ったステンソンは、メジャーを初めて制覇するのなら「全英オープン」になるだろうと感じていたことを明かした。
「小さな子どものころからの夢がかなったね。と言っても、そこまで小さくなかったのだけど」とステンソン。「僕は11歳でゴルフを始めたんだ」。
「子どものころの最初の思い出は『ライダーカップ』と『全英オープン』だった。それだけに、この場に立ってこのトロフィを掲げられたのは、とても素敵だったね」
「今度は僕の番だと感じていた。周りに言いふらすようなことではないけれど、今回は僕の番になると(大会前から)感じていたんだ」
「奮闘しなければならないことは分かっていたけれど、自分への信頼が、今週を戦い抜く上での糧になったと思う」
「ここ15カ月から18カ月の間、何度か優勝できるチャンスはあったんだ。ただ、自分の望むような形で締めくくることができなかった。何度かは、米国の若いやつらがすばらしいゴルフをして優勝を持っていってしまった。特に2015年はそうだったね」
「それだけに、数週間前にドイツの『BMWインターナショナルオープン』で勝って、その一線を越えることができたのは大きかった。(優勝争いをしていると)終盤にプレッシャーを感じるものだけど、長いこと勝っていないと、そのプレッシャーが積み重なってしまうからね」
「ドイツで勝てたのは良かったよ。あれは間違いなく、今週の助けとなったし、余分に自信を得て今週に臨めたのが、僕にとっては大きかったね」