2016年 マスターズ

「クレイジーだね」ウィレット、誕生日の妻へ贈るグリーンジャケット

2016/04/11 11:43
スピースの連覇を阻止したダニー・ウィレットがメジャー初優勝(David Cannon/Getty Images)

オーガスタでの劇的な最終日、同組のリー・ウェストウッドとディフェンディングチャンピオンのジョーダン・スピースを退けたダニー・ウィレットが「マスターズ」を制覇し、メジャー初優勝を飾った。

イングランドのウィレットはスピースから3打差で最終日をスタートすると、スピースが後半へ折り返した時点では5打と離され、前回王者による2大会連続のワイヤー・トゥ・ワイヤー(完全勝利)での勝利はほぼ確定したかに見えた。

しかし、あきらめずにプレーしたウィレットが最終日をノーボギーの「67」でラウンドしたのに対し、スピースは12番でクアドルプルボギーを叩くなど、3ホールで6つスコアを落としたことにより、28歳のウィレットはもとより、フィールドの大勢の選手にチャンスが開ける展開となった。

15番ではウェストウッドがイーグルを奪ってウィレットとの差を1ストロークに詰めるも、続く16番でバーディを奪って通算5アンダーとしたウィレットが逃げ切り、2011年のシャール・シュワルツェル以来となるヨーロピアンツアーメンバーによるグリーンジャケット獲得を達成した。

ウィレットは、ニコール夫人が今週末に出産を予定していたため、今週は大会に出場しない可能性が濃厚だったが、息子のザッカリア君が大会前に誕生し、父親の今季ヨーロピアンツアー2勝目を後押しすることとなった。

「クレイジーだったね。この気持ちはとても言葉にすることができないよ」とウィレット。

「きょうは妻の誕生日で、しかも出産予定日がきょうだった息子が、12~13日早く生まれてくれて、僕をここでプレーさせてくれたんだ」。

「人は運命やそれにまつわる全てのことについて語るけれど、本当にクレイジーな信じられない週だったね」。

「タフだった。こちらが差を縮めても、ジョーダンは常に先を行っていたから、とにかく頑張ってバーディを奪い続けるようにトライしたんだ」。

「6アンダーか7アンダーまで伸ばす必要があると思っていたし、リーダーボードを見てみると、彼は既に7アンダーだったしね」。

「今日の浮き沈みを振り返ってみると、とても非現実的な一日だったね。僕らは、正しい時に正しいショットを打ち、必要な時にパットを沈めることができたという部分でついていたね」。

ウェストウッドとスピースは通算2アンダーの2位タイで大会を終え、さらに1打差、通算1アンダーの4位タイにポール・ケーシーJ.B.ホームズ、そしてダスティン・ジョンソンが入った。

マシュー・フィッツパトリックは初めてプロとして臨んだ「マスターズ」の最終日に「67」をマークし、最終日「71」でプレーしたソレン・ケルドセン、そして松山英樹と並ぶイーブンパーで大会を終えた。

ウィレットは6番、8番でバーディを奪い、スピースが5番でボギーを叩いたことも相まって、首位との差をわずか1ストロークに縮めることに成功した。

しかし、世界2位のスピースはそこから4連続バーディを奪い、史上4人目の「マスターズ」連覇へ向け、猛然と邁進した。

しかし、スピースは10番と11番で連続ボギー、続く12番では2度にわたってクリークに落として大失速。一方、ウィレットは13番、14番、そして16番でバーディを奪って、歴史に名を刻んだ。

15番ティに立った時点で通算2アンダーだったウェストウッドは、その15番でイーグル奪ってメジャー初優勝のチャンスをたぐり寄せるも、16番でボギーを叩いたことで、実質的にそのチャンスをふいにしてしまった。

スピースは13番と15番でバーディを奪って望みをつないだが、17番での痛恨のボギーで万事休す。結局2位タイで大会を後にした。

7位で終えたフィッツパトリックとケルドセンには、来年のマスターズ出場が約束された。通算1オーバーの10位に、最終日を7バーディ、6ボギーでラウンドしたロリー・マキロイジャスティン・ローズ、そして世界ナンバーワンのジェイソン・デイらが入った。

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