元世界ランク1位が大会ホスト 「ブリティッシュマスターズ」アラカルト
今週の欧州ツアー「ブリティッシュマスターズ」は、かつての世界ナンバーワンであるリー・ウェストウッドが大会ホストを務めるなか、15年ぶりの再訪となるイングランド北西部・クローズハウスGCにて開催される。
■2016年大会を振り返る
昨年はルーク・ドナルドが一昨年にウォバーンでイアン・ポールターが務めた大会ホストの座を引き継いだが、主役の座は、劇的な展開となった最終日に昨季ツアー3勝目を挙げたアレックス・ノレンのものとなった。
昨年、すでに「アバディーンアセットマネジメント スコットランドオープン」と「オメガヨーロピアンマスターズ」で勝利の美酒を味わっていたスウェーデンのノレンは、ザ・グローブでの最終日を「69」で回って通算18アンダーとし、2位に入ったオーストラリアのベルント・ヴィースベルガーに2打差をつけて優勝した。
地元人気のウェストウッドは、最終日に「67」をマークし、通算15アンダーとして3位に入った。
3打差の首位で最終日を出たノレンは、出だし2ホールで連続バーディを奪い、通算18アンダーまでスコアを伸ばす絶好のスタートを切った。
その後、8番でボギーを叩いたノレンは、11番のボギーでリードを1ストロークに減らすと、ヴィースベルガーがパー5の15番で4メートル弱のバーディパットを決めて通算16アンダーとしたことにより、首位タイに陥落した。
しかし、ノレンは15番でバーディを奪って間髪を入れずに単独首位の座を奪い返すと、続く2ホールを危なげなくパーとし、最終ホールでタップインバーディを奪って欧州ツアー通算7勝目を挙げた。
ノレンの勢いはとどまるところを知らず、その後は11月に「ネッドバンクゴルフチャレンジ」を制覇。単一シーズンで欧州ツアー4勝を挙げた初のスウェーデン人選手となった。
■フィールド
クローズハウスには欧州ツアー23勝のウェストウッドを含めて、世界ランキング1位の経験者が3人。さらにメジャー王者が7人、そして欧州ツアー優勝経験者が合計86人と豪華な顔ぶれがそろう。
「レース・トゥ・ドバイ」ランキングのトップ20からは、ディフェンディングチャンピオンのノレン、「マスターズ」王者のセルヒオ・ガルシア、メジャー4勝のロリー・マキロイ、ロス・フィッシャー、ベルント・ヴィースベルガー、マシュー・フィッツパトリック、李昊桐、ジョーダン・スミス、そしてアレクサンダー・レビの9人が出場する。
世界14位のノレンは、欧州ツアーの新機軸であるロレックスシリーズ初戦となった今年5月の「BMW PGA選手権」にて、ウェントワースでの最終日に驚愕の「62」をマークして大会を制覇。それ以来となる英国での今季2勝目を狙っている。
今年の「ブリティッシュマスターズ」には、2015年に大会ホストを務めた「ライダーカップ」レジェンドのイアン・ポールターに加え、スペインのミゲル・アンヘル・ヒメネス、スコットランドのラッセル・ノックス、アイルランドのシェーン・ローリー、そしてメジャー2勝でドイツのマルティン・カイマーの出場が決まっている。
これに加え、先週日曜に「ポルトガルマスターズ」で欧州ツアー初制覇を果たしたデンマークのルーカス・ビェルレガードも、直近のツアー王者としてイングランド北西部へ赴くことになる。
■コース
クローズハウスは360エーカーの広さを持つ私有地であり、世界初にして唯一のリー・ウェストウッドのコースである。19番ホールとして最新鋭のクラブハウスを所有していることを誇りとしている。
250年の歴史を持つクローズハウスは、美しく穏やかなタイン谷に位置しており、タイン川と旧跡ハドリアヌスの長城に挟まれた同地はニューカッスルからも近い。2015年に「ISPS Handa PGAシニア選手権」が開催されたクローズハウスで欧州ツアーの大会が開催されるのは、今回が初めてである。
イングランドのゴルフコース設計家であるハリー・コルトの名を冠した、パー71のチャンピオンシップ・リー・ウェストウッド・コルトコースは、エジンバラに拠点を置くコース設計家のスコット・マクファーソンにより設計された。160エーカーの土地に広がる全長6,813ydの同コースは、開場されるや否や英国のゴルフコーストップ100に選出された。イングランド北西部でトップ100入りを果たしたのは同コースのみである。
コルトコースのテーマは「古きイングランド」であり、1番ホールの左に広がる古の森、11番ホール左に続くローマ時代の要塞、15番ティから臨む湖、そして最終ホールの隠れ垣とアイスレイクが見どころとなっている。
クローズハウスにはリー・ウェストウッド・フィリーコースも併設されており、北西部のPGA公式アカデミーである同コースには、五つ星の練習施設と、近年完成したパー3のイヤーリングGCも併設されている。
■豆知識
・大会ホストのウェストウッドは、ドナルドに続く「ブリティッシュマスターズ」のホストを務める2人目の世界ナンバーワン経験者となる。今大会にはウェストウッド、マキロイ、そしてカイマーと、3人の世界ナンバーワン経験者が出場する。
・「ブリティッシュマスターズ」がイングランド北西部で開催されるのは45年ぶりのことであり、開催コースのクローズハウスではウェストウッドが2011年から所属ツアープロとなっている。
・ウェストウッドは、「ブリティッシュマスターズ」が欧州ツアーに組み込まれた初年の2007年にザ・ベルフライで大会を制覇しており、同コースで開催された翌年は連覇に手をかけながらも、プレーオフでスペインのゴンサロ・フェルナンデス・カスターニョに敗れた。
・1988年にオーガスタナショナルで「マスターズ」を制覇したサンディ・ライルは、その2カ月後に一風変わった“マスターズダブル”を遂げた。現「マスターズ」王者のガルシアには、クローズハウスでその再現を達成するチャンスがある。
・1988年に同大会の優勝賞金41,660ポンドを手にしたライルは、英国人として初めて欧州ツアーの生涯獲得賞金が100万ポンドを越えた選手となった。
・これまで「ブリティッシュマスターズ」を制覇したメジャー王者は13人。ボビー・ロック(1946、1954年)、マックス・ファルクナー(1951年)、ピーター・トムソン(1961、1968年)、トニー・ジャクリン(1967、1973年)、ボブ・チャールズ(1972年)、ベルンハルト・ランガー(1980年)、グレッグ・ノーマン(1981、1982年)、イアン・ウーズナム(1983、1994年)、リー・トレビノ(1985年)、セベ・バレステロス(1986、1991年)、サンディ・ライル(1988年)、サー・ニック・ファルド(1989年)、そしてジャスティン・ローズ(2002年)である。