シームが劇的な勝利をたぐり寄せる
プレーオフ1ホール目でチップインしたマルセル・シームがアレクサンダー・レビとロス・フィッシャーを下し、上海での「BMWマスターズ」を制覇した。
72ホール目で2メートルのパットを外し、規定内での勝利を掴むチャンスをふいにしたシームだったが、18番ホールを舞台に行われたサドンデス方式のプレーオフ1ホール目で見事チップインバーディを奪い、「レース・トゥ・ドバイ」のファイナルシリーズ初戦を制した。
フィッシャーとレビは望みを繋ぐバーディチャンスにつけていたが、ともにこれを外した為、シームは予定していたタイでの休暇をキャンセルし、同地で木曜日から開催される「WGC HSBCチャンピオンズ」に出場する運びとなった。
レイクマラーレンを「65」、「66」、そして「63」でラウンドし、最終日を4打差の首位で迎えた24歳でフランス出身のレビは、「ポルトガル・マスターズ」からこのかた、ストロークプレーでここ5ラウンドを通算40アンダーでラウンドし、勝利へ邁進するかに見えた。
しかしながら、強風が好スコアを阻む一日となった最終日は「78」でラウンドするのが精一杯で、「73」でラウンドした同組のシーム、そしてイングランドのフィッシャーと並んで通算16アンダーでのホールアウトとなった。
最終日を見事「67」でラウンドしたフィッシャーは皆の目標となるスコアでホールアウトし、このままレビとの11打差を逆転して優勝を飾ればヨーロピアンツアー記録を塗り替えるというところまで漕ぎ着け、その後、レビとシームが18番でボギーを叩いてフッシャーのスコアと並ぶ展開となった。
最終組の3人目で「ライダーカップ」ではスター選手となったジェイミー・ドナルドソンは決めればプレーオフというバーディチャンスにつけながらも、このパットを僅か数インチショートした。一方、グレンイーグルスではチームメイトだったジャスティン・ローズは最終ホールでボギーを叩いて最終日のスコアを「72」とし、こちらもドナルドソンと同じく通算15アンダーで大会を終えた。
「1番でバーディを奪う幸先良いスタートを切り、風が強いコンディションだったので、大会に勝つチャンスが少しだけ広がったのは分かっていた」とシーム。彼は7番と8番でもバーディを奪い、前半終了時点でレビに追いついて見せた。
「アレックスは残念ながら良い一日にはならず、僕は前半をとてもソリッドにプレーすることができた。そしてバックナインは本当にタフなものになったね」。
「ゴルフコースは始めの3日間とは真逆の状況だった。コースは魔物と化し、僕は喜びの中にいるわけだよ。未だに信じられないね。天にも昇る心地だよ」。
「プレーオフでは、生き残る為にはあれをホールインしなければと思っていたんだ。どちらか一人は残りのパットを決めると思っていたからね。本当に素晴らしいよ。チップインはいつだってクールなことだけど、プレーオフでしてのけるなんて、これ以上クールなことはないね」。
「正直なところ、これまでこれだけ大きな大会でこの成績を収めたことはなかったんだ。賞金のことは考えないようにしていたけれど、それにしてもクレージーな額だよね(優勝賞金は160万ユーロ)」。
「思うに、今日の鍵はダブルボギーやトリプルボギーを叩かないことで、僕はそれを避けることができたんだ」。
「僕のことを知っている人だったら、僕がボギー、ボギーで上がったら、それを気に入らず心中穏やかじゃないぞって思っただろうね。でも僕はしっかりと冷静さを保つことができ、僕はそれを誇りに思っている。僕は年を重ねているし、今では子供が2人いるから、それが冷静さを保つことのできた理由かな」。
13番でドライバーを引っかけてウォーターハザードに捕まり、ダブルボギーを叩くまではシームに2打差をつけていたレビは、「そこまで悪いプレーだったとは思っていません。幾つかミスをしましたが、そこまで沢山のミスショットをしたわけではありません」と述べた。
「今日はマルセルが勝ちに相応しいプレーをしました。彼は風の中、素晴らしいプレーをしましたので。今日は特殊な一日となり、この風の中、僕にとっては簡単なものにはなりませんでした。これは克服しなければならない課題です。このような天候にも打ち勝てるようにならなければなりませんね」。
フィッシャーの「67」はこの日のベストスコアであり、4人しか達成できなかった60台のうちの一つである。
「11打差でスタートしたので、まさか勝つチャンスをものにできるなんて思ってもいなかった」とフィッシャー。「ただ良いスコアを出せればと思っていたんだ。トップ10入り出来れば上々だってね。勿論タフなラウンドになったけれど、今日のベストラウンドをそれなりの差で達成することができたんじゃないかな」。
「自分のプレー振りにとても満足してこの場を去ることにするよ」。
18番でのバーディパットについてドナルドソンは、「ラインは完璧だったのにショートしてしまったのは最悪だった。勝てる大会だったのに僕は十分なプレーをすることができなかったんだ」と述べた。