ケン、甘美な勝利を味わう
バックナインで「31」という驚くべきスコアを出したジュリアン・ケン(フランス)がトリノGCで開催された「イタリアオープン」を優勝し、自身2度目のヨーロピアンツアータイトルを手にした。
最終日スタートの時点で首位と4打差だったケンは、2番ホールでダブルボギーの6打を叩き、優勝争いから外れたかのように見えた。しかし、4番と6番でバーディを奪うと、後半は破竹の「31」。
33歳のケンは10番、11番、そして15番でスコアを伸ばすと、更に17番ではグリーン手前からのアプローチショットをチップイン。そして最終ホールで6フィートのバーディパットを沈め、最終日を「67」でラウンドした。
これで残りの選手が目指すスコアは12アンダーとなった。最終日を首位でスタートし、一時は同じ12アンダーまでスコアを伸ばしたマーカス・フレーザー(オーストラリア)は、15番で3パットしてしまい、更にパー3の16番でもティショットでグリーンを外し、連続でスコアを落としてしまった。
結局フレイザーは「74」でホールアウトし、通算9アンダーの8位タイで大会を終えた。2位には、アイルランドのデビッド・ヒギンズとイングランドのスティーブ・ウェブスターが通算11アンダーで入った。
過去20年間で200以上のヨーロピアンツアーの大会に出場していながら1度しかトップ3に入ったことのないヒギンズは、18番でバーディを奪い同組のウェブスターと同じ「68」で最終日をラウンドした。一方、2005年のチャンピオンであるウェブスターは、17番のグリーンで60フィートのパットをねじ込み、勢いそのままに王者の座を脅かすかに見えた。
去年の「アンダルシアオープン」以来勝ちがなかったケンはこう語った。「このバックナインは自分でも誇らしい出来でした。今週、私のプレーに取り組む姿勢はとても良かったですし、それがカギだったと思います。ヨーロピアンツアーで2度目の優勝を味わえるなんて夢のようです」
「ダブルボギーの後はとにかく心を落ち着かせました。おそらく優勝者は15アンダーで上がるというのに、私はわずか5アンダーまで落ちたんです。『ただ頑張り続ければ、結果はどうなるかわからないさ』と自分に言い聞かせていました」
「16番のグリーンにたどり着いてリーダーボードを見てみると、首位とは2打差しかないことが分かり、まだチャンスはあると確信しました。そこで、5メートルからの素晴らしいパットを沈めてパーをセーブし、最後の2ホールでバーディを奪えたのは格別でしたね。17番ホールでバーディを奪った時点で、12アンダーまで行けば少なくともプレーオフの可能性は出てくると考えました。ゴルフってどうなるか分かりませんからね。こんな姿勢をずっと保てたことは自分でも誇りに思います。大会のトップ争いから外れていない、とずっと信じ続けていましたからね」
「優勝したことには驚いています。コースは今週ずっと難しかったのでバーディを獲るのに苦しみ、ボギーになりやすい状況でした」
「それから家族がここにいてくれたのは本当に特別でした。彼らが一緒にいると私に力を与えてくれます。そしてここで一緒に勝利を祝えるなんて最高の気分です」
「今季、ここまで素晴らしいシーズンとなりました。今週に入る前の時点でトップテン入りを6度果たし、とても安定していました。そして、この大会の優勝で驚異的なシーズンになりました。これからシーズンの終わりにかけて大きな大会にいくつも出場できますし、『レース・トゥ・ドバイ』でできるだけランクを上げられるよう頑張るつもりです」
この優勝でケンは「レース・トゥ・ドバイ」のランキングを41位に上げた。シーズン最終戦のドバイで開催される「DP ワールド ツアー選手権」にはランキング上位60位までの選手に出場権が与えられる。
一方、ヒギンズは同ランクを163位から111位に浮上させた。10月中旬に開催される「パース・インターナショナル」を終えた段階で、上位110位までにランクインしたプレーヤーは2014年のシード権を保持することになる。つまり、あと1つ順位を上げればヒギンズは通算14度目のQスクール(出場予選会)を回避できることになる。
「最後のホールはラッキーだったね。最悪のティショットだったのにフェアウェイバンカーでのライが良かったんだ」とヒギンズは述べた。「それでもきっちりとしたショットが求められ、それが実行できて、その後のパットも入ってくれたから嬉しかったね」
「僕は『首位に並べるかもしれないチャンスなんてこれからどれだけあると思う?』と考え、『しっかりしろ。少なくとも最後まで諦めないで、前向きに行こう』って言い聞かせたんだ」。その通りのプレーぶりで中盤にスコアを伸ばした。
「今週初めの練習ラウンドは良かったので、それを大会中も続けられたことは自分でも良くやったと思う。このようなフィニッシュは17年ぶりなので満足しているよ。やればできる。きっと、もう少し頻繁にやらなきゃいけないというだけのことだね」
今シーズンを通して手首の負傷に悩まされ続けているウェブスターはこう語った。「この4ヶ月で、ショットを取り止めたり、70%と言う感じの気分になることなくプレーできたのは初めてです。今大会が大きな転機となってくれるといいね」
ライダーカップのスターで、トリノGCメンバーでもあるフランチェスコ・モリナリ(イタリア)は、バンカーから直接チップインンした8番、続く9番の連続バーディで、序盤にたたいた2つのボギーをリカバー。一瞬はおとぎ話のような母国優勝を遂げるかに思えたが、後半は「39」と伸びず、通算7アンダーで大会を終了した。