欧州男子ツアー

2019年名場面10選

2019/12/17 08:30
68年ぶりに北アイルランドで開催された全英でメジャー初優勝を果たしたシェーン・ローリー

心温まる別れの場面と感動的なインタビューから、新構想とゴルフ界初の快挙まで。2019年「レース・トゥ・ドバイ」で心に残った名場面10選をお届けしよう。

シェーン・ローリーが「全英オープン」を制覇

第148回「全英オープン」を制覇したのは、アイルランド人のシェーン・ローリーだった。ロイヤルポートラッシュでクラレットジャグを掲げるという夢を叶えた。幾多の困難を乗り越え、6打差で勝利を飾ってメジャー王者となったことで、国中をお祭り騒ぎへと変えた。

彼は「全英オープン」を制覇した5人目のアイルランド人選手として、故郷のオファリーへ錦を飾ると、地元では英雄として手厚い歓待を受けた。

北アイルランドでの忘れ難き一週間だった。

タイガーによる「マスターズ」制覇

11年間に及ぶ怪我と疑念との苦闘を乗り越え、タイガー・ウッズが2008年以来となるメジャー制覇を遂げた。メジャー15勝目である。

世界中のゴルフファンが待ち望んだ瞬間であり、2017年「マスターズ」のチャンピオンズディナーでジャック・ニクラスに「僕は終わった」と告げたタイガーによる復活勝利は、忘れられない出来事となった。

2019年のオーガスタ・ナショナルでのウッズによるカムバックは、スポーツにおける史上最高の復活劇と位置付けることができるだろう。4度にわたる腰の手術により、誰もが、ニクラスによるメジャー18勝の最多勝記録には及ばないだろうと考えていたが、タイガーは最終ホールをボギーとしながらも、後続に1打差をつけて勝利を飾ったのである。

優勝の瞬間、感情が爆発すると大観衆の喝采が鳴り響いた。息子を抱擁した後、彼はまだ終わってはいないと確信したのである。

EDGA導入

今年、我々は「アバディーンスタンダードインベストメント スコットランドオープン」と「DPワールドツアー選手権」というヨーロピアンツアーの舞台で、世界最高峰の障がい者ゴルファーたちのプレーを目の当たりにした。ルネサンスクラブでは10人、そしてジュメイラGEでは8人のゴルファーが2日間にわたりバトルを繰り広げたのである。

第1回「EDGAスコットランドオープン」では、2日間を「77」と「71」でラウンドした世界3位のブレンダン・ラウラーがスコットランドで歴史に名を刻み、「EDGAドバイフィナーレ」ではイングランドのジョージ・グローブスが3打差をつけて優勝を飾った。

ミゲルが「700クラブ」入会

第148回「全英オープン」が特別な大会となったのは、ローリーだけではなかった。木曜の午前11時36分にティオフしたミゲル・アンヘル・ヒメネスは、サム・トーランスに続く史上2人目のヨーロピアンツアー700大会出場を達成したのである。

ヨーロピアンツアー21勝のスペイン人選手は、これまでセンセーショナルなキャリアを送っており、2014年には50歳133日で「スペインオープン」を制覇し、ツアー史上最年長優勝記録を更新した。また、55歳の彼はツアー史上最多ホールインワン記録も保持しており、これまで10回エースを達成している。

常にエンターテイナーであり続けるミゲル。これからも躍り続けて。

ラームが「ロレックスシリーズ」で無類の強さを発揮

ジョン・ラーム、この大胆不敵なスペイン人選手は、「DPワールドツアー選手権」を制覇し、史上初の「ロレックスシリーズ」4勝目を挙げるとともに、欧州ナンバーワンの座を手にした。

彼の快進撃は、ここ3年で2勝目を挙げたアイルランドのラヒンチGCで始まり、マドリードでの週末を「63」「66」でプレーした「スペインオープン」を制覇すると、勢いそのままにドバイでも勝利を挙げ、550万ドルをポケットに収めたのである。

世界3位でシーズンを終えたラームは、偉大なる故セベ・バレステロスに続く史上2人目の欧州ナンバーワンに輝いたスペイン人選手となった。

大会ホストにして心のチャンピオンとなったトミー

僅か28歳にして、ホームコースであるサウスポートのヒルサイドGCで開催された「ベットフレッドブリティッシュマスターズ」の大会ホストとなったことが、トミー・フリートウッドについての多くを物語っている。ディボット修復に勤しむグリーンキーパーたちを手伝い、新たな友人をつくったフリートウッドの一週間は、大会ホストが一番お気に入りのゴルファーという、ちびっ子ハリーの掛け声により、最高のものとなった。

「ナイスショット、トミー・フリートウッド」

デンマークのビールテントでドナルドソンがダンスを披露

「メイド・イン・デンマーク」では、これまで多くの新機軸が打ち出されてきたが、2019年も例外ではなかった。

選手たちは13番グリーンから14番ティにかけ、大音響の音楽と興奮したデンマークのファンでごった返したハイネケンラウンジの中を歩いて通り抜ける体験をしたのである。

お気に入りのマイケル・ジャクソンの曲で乗りまくったジェイミー・ドナルドソンが、この祝祭の良きお手本である。

ヨーロピアンツアー史上初の男女混合戦

今年序盤の「ISPSハンダヴィックオープン」では、マノン・デ・ロイギャビン・モイニハン、そしてデール・ウィリアムソンが同組でティオフしたことで、ヨーロピアンツアーで史上初の男女混合グループでのラウンドが行われた。

大会には女子選手76人、男子選手80人が出場し、52組による男女混合のプレーで歴史に足跡を残した。

賞金も均等だったことから、真の意味でイコールな大会となった。

ビェルレガードがテキサスでタイガーを撃破

初出場の「WGCデルテクノロジーズマッチプレー」で、ウッズに対し残り3ホールで1つリードを許すというのは、弱音を吐きたくなるような状況である。

しかし、デンマークのルーカス・ビェルレガードにとっては違った。

16番で素晴らしいバーディを奪ってマッチをオールスクエアに戻した彼は、17番でもバーディを奪って分けると、パーとした最終ホールでウッズを退け、第50シードながら準決勝へと駒を進めたのである。

ウェントワースに別れを告げたホセ・マリア・オラサバル

ホセ・マリア・オラサバルは28回出場し、103ラウンドし、1勝を挙げた「BMW PGA選手権」に別れを告げた。

大会制覇を遂げた1994年から四半世紀が経ち、53歳はこの9月にウェントワースGCで最後の競技ラウンドをスタートした。

特別な週を記念し、彼は最後の2ラウンドを良き友であるミゲル・アンヘル・ヒメネスとプレー。その後は、同じくスペインの同胞であるラーム、ラファ・カブレラベローゴンサロ・フェルナンデスカスターニョホルヘ・カンピージョアルバロ・キロスアドリアン・オタエギ、そしてナチョ・エルビラらがプレー後に集まり、スペインのレジェンドに敬意を表して最後の花道をつくった。

オリー、たくさんの思い出をありがとう。