遼、昨年飛躍の大会にも冷静「今の自分のプレーを」
昨年2011年の「WGCブリヂストンインビテーショナル」は、石川遼の活躍がひとつの大きなトピックスとなった。初日から好スタートを切り、3日目が終わった時点でトップに1打差の2位に浮上。ラウンド後には公式会見に呼ばれ、米ツアーで初めて最終日最終組でプレーし、結局4位タイに終わったものの、近い将来の米ツアー挑戦への大きな一歩を踏み込んだ。
しかしながら、2日(木)に開幕する今年の同大会を迎えるにあたって、石川はその1年前の飛躍を冷静に受け止めている。「去年の大会は、3日目までに貯金も運もあった。今考えると技術で上位に来たと言うよりは、自分の持っている運で戦った意識が強い」。
当時は「全英オープン」で予選落ちを喫した直後にジャンボ尾崎から指摘を受け、スイングの修正に取り組んでいた真っ最中だった。毎日「練習場にいる気持ちでプレーする」と繰り返して口に出し、真剣勝負の中にもどこか違う次元で戦っていた。それだけに、本人には結果ほどの実感が無い、というのが本音の大半を占めている。
ただし、ある意味“夢見心地”でプレーした中でも得たものは新鮮だった。一番の収穫はその最終組で逃げ切ったアダム・スコット(オーストラリア)のプレーを最も近いところで目にしたこと。「キャディのスティーブと相談したとおりに『ピン右手前3メートル』『左奥3メートル』といった(細かい)ところに打っていった。自分とは全然違った」と振り返る。
そして前週の「RBCカナディアンオープン」は3日目に大きく後退して42位タイでのフィニッシュとなったが、「少しだけれどそういう感覚でプレーできた瞬間が何ホールかあった」と、自身のマネジメントとショットのイメージとが、長い時間をかけて合致し始めていることを実感。「今週はそれが楽しみ」と意気込んだ。
予選落ちが無く、全選手が4日間プレーするWGC。初日、2日目は世界ランク3位のロリー・マキロイ(北アイルランド)と同組でプレーする。「ギャラリーもすごく多いと思うし、ティショットでは置いていかれるはず。まずは、それを受け入れることが大切。決してやりやすいコースではない。少しでもミスをすれば難しくなる。今の自分のプレーをできるように」。昨年大会の残像が周囲にはあるが、背伸びはせずに等身大のプレーを心がける。(オハイオ州アクロン/桂川洋一)