1998年 全米オープン

ジャンボは時間非厳守? マーチン人気が沸騰

1998/06/18 09:00

練習日、ジャンボ尾崎は必ずおくれてティアップしていた。
練習ラウンドのスタート予定時間はボードに掲示され、ギャラリーはそれを目安にティグラウンドに集まってくる。しかし水曜日もボードに表示の1時10分、ジャンボの姿は見えなかった。
この水曜日だけでなく、ジャンボはほぼ必ず遅れてやってくる。だいたいスタート時間ごろにコースにあらわれるのが普通で、それから体を温めたり練習したりするのだから、予定どおりティオフできるわけがない。

水曜日、最終ティオフの時間は午後3時と決められていた。この最終タイムを予約していたのはニック・ファルド。後ろを気にせずゆっくりゆっくりプレーしたかったらしい。
しかし予想外のジャンボがその後ろに割り込んでしまったのでややこしくなる。そればかりか、更にうしろにアル・ガイバーガーまでも割り込んできた。もちろん、みんな1人ずつのスタートだ。

ファルドは例によってゆっくり確かめながらのラウンド。非常に遅い。それでジャンボがいらいらし始めた。ガイバーガーもいらいらし始めた。ガイバーガがついにジャンボへボールを打ち込み、ジャンボもファルドに打ち込んだりする一幕もおきた。最終的には、ジャンボもガイバーガーといっしょにラウンドしていたが。

しかしジャンボにやる気がないというわけでもないらしい。「このコースはとても楽しい。プレーヤーの本当の実力を試すようなコースだ。まったくミスが許されない。チャレンジのしがいがあるね」
ジャンボのクラブはアイアンがMのマーク。しかし形そのものはウォズだ。ドライバーは無刻印。ウェアはO'ja。シューズもノーブランド。「心も体もパンツも真っ白になった」ということらしい。

距離のないオリンピッククラブだが、ラフが粘る。くるぶしまで隠れるような長さではないが、実に粘っこい。手で引き抜こうとしてみたが、抜けない。しかもそのラフがうねっている。入れたら最後というラフだ。ウォーターハザードもフェアウェイバンカーもない(1ホールだけ)が、ラフと傾斜が十分すぎるほどそのかわりになっている。

ティショットは最高レベルの正確性が要求される。落としどころがちょっと狂うだけで、転がりの方向が正反対になる。ドライバーを使う選手なんていないかもしれない。グリーンも小さく、固い。ダイレクトに落とすとバウンドして転がり出る。バンカーに取り囲まれているし、グリーン周囲のラフも深い。難しいコースだ。

アーニー・エルスが腰痛だという。水曜日は練習を休んでいた。ちょっと心配。デービス・ラブも腰が痛いらしい。これも心配されていたタイガー・ウッズはけっこうよさそうで、淡々とプレーしていた。現地の人気は1にタイガー、2にケーシー・マーチン。この2人(大学の同窓)がいっしょにラウンドすると、ギャラリーの集中はものすごい。
いよいよ明日、第1ラウンドのティオフだ。
(サンフランシスコ・佐藤直樹)

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