終盤の難関パー3 “オーガスタ並み”の傾斜を読め
トリニティフォレストGC 17番パー3(215yd)
1944年に始まった「AT&Tバイロン・ネルソン」はテキサス州ダラスで行われる伝統のトーナメント。2018年から会場をトリニティフォレストGCに移して開催されています。14年にできたばかりのコースですが、米国内では一風変わったリンクスを思わせるつくりで、これまでの会場とは一線を画すものになりました。
終盤の17番(パー3)は215ydとしっかり距離があるだけでなく、難しさがふんだんに詰まっています。ティから2ydとわずかに打ち上げのホールの特徴は、何といってもグリーンの傾斜の大きさにあります。
まずはフロントエッジの少し手前から、グリーンになだれ込むように下るひとつ目の傾斜があります。カップがグリーン手前に切られた時は、このラインを使って寄せていくのが理想ですが、風の向きと強さでジャッジが大変悩ましくなります。
ふたつ目の傾斜は、このコースで一番大きいといっても過言ではありません。グリーン中央部分を左右に走る壁のような山があります。ここから前後に流れる傾斜は「マスターズ」会場のオーガスタナショナルGCのグリーンに引けを取りません。ティショットではピンの位置によって、この山を越えるか、越えないかでパットの難易度が天と地ほど変わってくるでしょう。
グリーンのバックエッジも壁のように盛り上がっており、ショットが万が一この“最後の砦”を越えてしまい、グリーンオーバーすると、大きなトラブルになる可能性があります。
波を打つように設けられたこれほどの傾斜ですから、パッティングはもちろん注目すべきポイントです。昨年大会で松山英樹選手は2日目に下りのスネークラインを鮮やかに沈めてバーディを決め、このパットがショット・オブ・ザ・ウィークに選出されました。当日のスポーツ番組では他競技も含めたスーパープレー10傑にも入ったんですよ。
優勝スコアは晴天が続けば、通算20アンダー近いのではないでしょうか。トリニティフォレストGCはダラスエリアの超がつくほどのプライベートコースのひとつです。木がなく、グリーン周りもラフがほとんどありません。アダム・スコット選手(オーストラリア)は「今週はフェアウェイからのアプローチと、バンカーショットの練習だけで大丈夫!」と話していたほどです。
そうであるからこそ、グリーンやその周辺の形状をしっかり把握しておく必要があります。ピンプレースによって”寄る場所”、”寄らない場所”の差が顕著になるので、マネジメントによってスコアに大きな差が出るはずです。(解説・進藤大典)