2021年 バミューダ選手権

公傷クリアへ残り2戦 うれしいダニー・リーの復活

2021/11/02 14:55
ダニー・リーが健闘、2位に入った(Cliff Hawkins/Getty Images)

ルーカス・ハーバート(オーストラリア)の初優勝で幕を閉じた「バミューダ選手権」。僕は久しぶりに上位で戦うダニー・リー(ニュージーランド)を見てうれしくなりました。

最終日の後半11番までは首位だっただけに、本人の中では2015年「ザ・グリーンブライアークラシック」以来のツアー2勝目に届かなかった悔しさも大きいかもしれません。

しかし、昨季は出場24試合でトップ10入りゼロ。予選落ちが12試合を数え、棄権も4試合ありました。肩のケガで「マイナー・メディカルエクステンション(メジャー・メディカルエクステンションより出場優先順位の低い公傷制度)」の適用を受け、まさに瀬戸際にいるのです。

雨と風が吹きつけるタフなコンディション。ショートサイドのグリーン奥に外してしまった12番でダブルボギーをたたいて首位の座を明け渡し、さらに13番(パー3)、14番と連続ボギー。一気に崩れかかったところをなんとか踏みとどまって、15番から3連続バーディとカムバック。価値ある2位タイに食い込み、韓国で行われた19年「ザ・CJカップ」で2位に入って以来の好成績を収めました。

仲のいいダニー・リーと松山英樹(写真は2016年「全米プロ)

ノースカロライナ州のパインハーストNo.2コースが舞台だった08年「全米アマ」で優勝。準決勝でパトリック・リードを破るなど18歳1カ月で頂点に立ち、タイガー・ウッズの最年少V記録を更新。世界アマチュアランキング1位にも輝きました。09年にはオーストラリア開催の欧州ツアーでアマチュア優勝。同年「マスターズ」に出た後にプロ転向とエリート街道を歩んできた選手です。

15年にはプレジデンツカップで世界選抜チームとして一緒に戦いました。気さくで人懐っこく、イタズラ好きの愛されキャラ。松山英樹選手とも非常に仲が良く、ツアー転戦中にはお互いのチームメンバーみんなで食事に出掛けることもありました。16年「マスターズ」では彼がオーガスタで借りていたレンタルハウスに招待してもらい、食事をご馳走になったのもいい思い出ですね。

もともと華奢な選手でしたが、17年、18年くらいから肉体改造に励むように。練習場で常に1Wをマン振りする姿を見かけるようになったのも、そのころです。故障で棄権が増えた時期にも重なっていたため、心配するツアー仲間も多くいました。

当時会うたびに変わっていった体つきも、すっかりPGAツアー選手らしいガッチリした体格に変化。この大会も優勝争いから完全に脱落したと思われたところから、終わってみれば1ストローク差の2位。やはり地力があります。

公傷制度をクリアして出場資格をキープするためには、残り2試合でフェデックスカップポイント44ptが必要な状況。今週「ワールドワイドテクノロジー選手権atマヤコバ」にもエントリー。優勝500ptの試合ですから、単独20位で45ptを獲得できます。頑張れ、ダニー!(解説・進藤大典)

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