2021年 フォーティネット選手権

“中1週”でリスタート 長丁場を戦い抜くPGAツアーの猛者たち

2021/09/21 17:18
松山英樹は開幕戦を6位で終えた※撮影は大会2日目(Meg Oliphant/Getty Images)

PGAツアーの2021-22年シーズンが開幕しました。前シーズンの最終戦はわずか2週前のこと。世界最高峰のツアーでしのぎを削る選手たちに求められるのは、技術だけではありません。ロングシーズンを戦い抜く体力と精神力、パフォーマンスを維持もしくは向上させていくための継続的なトレーニング、4大メジャーをはじめとするビッグトーナメントにピークを合わせるためのスケジューリングなど多岐にわたります。

数カ月のオフを挟むカレンダーであれば、体を休めつつシーズンの戦いを整理し、新たな目標を立て、腰を据えて取り組む時間があります。PGAツアーで生き残っていくためには目の前の試合を全力で戦いながら常に先を見据え、並行して課題をクリアしていかなければなりません。

長丁場ゆえにまだまだエンジンがかかりきらない選手もいる中、開幕戦でタイトルを争った2人は非常に高いモチベーションを持って新たなシーズンに入ってきました。

長年の相棒がホマの優勝を陰で支えた(Stan Badz/PGA TOUR)

優勝したマックス・ホマは昨季エリートフィールドの「ジェネシス招待」を制したものの、「ツアー選手権」初出場には届きませんでした。ボーダーラインのポイントランク30位で迎えたプレーオフシリーズ第2戦「BMW選手権」で結果を残せず、シーズン終了。今週行われる欧州選抜との対抗戦「ライダーカップ」のメンバーからも外れ、「悔しさがモチベーションにつながることは往々にしてある。イーストレイク(ツアー選手権)に行けなかったことも、ライダーカップに出られなかったこともそう。(シーズンが終わって)たった2週間だけど、ハードワークしてきた」と話しています。

プレー面でも、子どものころから24年の付き合いになるというキャディのジョー・グレイナーさんとの息がピッタリ。最終日の後半12番で右ラフから残り94ydのセカンドを放り込んでチップインイーグルを決めたように、ラフからのコントロールやグリーンの外し方が完璧でした。ホマも「グリーンが硬いとき、いつも以上に素晴らしい仕事をしてくれる。ボールを運ぶべき場所を的確に教えてくれる」と相棒に感謝していましたね。

マーベリック・マクネリ(Meg Oliphant/Getty Images)

1ストローク差で敗れたマーベリック・マクネリも見事でした。勝負を分けた17番のティショット。左に切られたピンを狙っていくためには、フェアウェイ右サイドに置くことがマストな状況。左を警戒しすぎて右ラフに入れ、痛恨のダブルボギーとなりました。

それでも、最終18番に入る表情が印象的。優勝が難しくなってもなお闘志を宿し、前を向いていました。パー5で2オンに成功してのイーグルフィニッシュ。単独2位でフェデックスカップポイント300ptを獲得したことも含め、価値ある締めくくりだったと思います。

ネバダ州ラスベガスで家をシェアして暮らすルームメイトのジョセフ・ブラムレットが「ツアー選手権」同週に行われた“入れ替え戦”の最終戦で優勝。PGAのツアーカードをキープして今大会にも出場していました。初勝利を目指すマクネリも刺激を受け、さらにモチベーションを高めて乗り込んでいたのです。

最終日上がり3ホールでバーディ、バーディ、イーグルという怒涛(どとう)の追い上げを見せて6位に食い込んだ松山英樹選手にも近いことが言えます。昨季は「マスターズ」で日本人初のメジャータイトルをつかみ、8年連続「ツアー選手権」出場の偉業も達成しました。

素晴らしいシーズンを終えたばかりでも、「優勝争いを増やす」という明確なテーマを持ってリスタート。しっかりトップ10に入って上々の滑り出しとなりました。新たな一年でどんなプレーを見せてくれるのか、期待が膨らみます。(解説・進藤大典)

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