2020年 ツアー選手権

出るだけですごい最終戦 マキロイが10億円つかんだ16番

2020/09/04 11:30

イーストレイクGC 16番パー4 (454yd)

4年前に初めて年間王者に輝いたマキロイ。夕暮れのプレーオフ決着だった (Ryan Young/PGA TOUR via Getty Images)

プレーオフシリーズ最終戦「ツアー選手権」は30人のみが立つことを許される舞台です。出場者には翌年のメジャー、ことしに限っては本来ツアー優勝者のみで争われる1月「セントリートーナメントofチャンピオンズ」の切符なども与えられます。

まさに出ることが、これ以上ないステータス。前週「BMW選手権」最終日の最終18番、滑り込みで初出場を決めるパットを入れたマッケンジー・ヒューズ(カナダ)が「ゴルフ人生最大のプレッシャーを乗り越えた」と優勝したかのように喜んでいたのは、決して大げさではないのです。そして、そのエリートフィールドに米ツアー参戦から出続けている松山英樹選手。7年連続という数字の重みをあらためて実感します。

1500万ドル(約16億円)の行方が決まる最終18番も必見ですが、4年前の大会で最大のドラマが起きた16番をチェックしていきます。首位と3打差で残り3ホールを迎えたロリー・マキロイ(北アイルランド)がイーグルを奪い、さらにプレーオフ4ホール目に決着をつけたのが、この16番。初の年間王者に輝き、当時1000万ドルだったビッグボーナスを勝ち取りました。

ティショットを左に曲げればトラブルも。グリーン右はまるで崖のよう

全体的にアップダウンの激しいコースにあって、16番もティイングエリアからグリーンまでは25ydの上りとなっています。

ティショットで大木と深いバンカーが待ち構える左サイドに曲げると、グリーンを直接狙うのは一気に難しくなりますから、アングルとしては右サイドを狙っていきたいところ。しかし、右にも縦長の大きなバンカーがしっかりと配置されており、入れればミドルアイアン以上の番手で砲台グリーンに打っていく厳しい状況に追い込まれます。

落としどころが見えず、イメージのしづらい砲台グリーンは硬く仕上がっていて、簡単にはボールを止めさせてくれません。絶対に外したくないのが、グリーン左サイド。全体傾斜で左から右に傾いていて、極端な左足下がりから下り傾斜に落とす寄せを強いられます。

左から右へ全体傾斜。左ピンはバンカー越えのプレッシャー

右に逃げれば傾斜でどんどん右へ流され、こちらもグリーンを外すと、40yd以上、下まで落ちていってしまいます。さらに右サイドにピンが切られていれば、崖下からギリギリを狙うアプローチとなり、弱ければまた同じ場所に戻されてやり直し。外しどころにも神経を使いながらのセカンドショットになります。

4年前の最終日、マキロイが左のファーストカットから2打目を放り込んだときは左ピン。バンカー越えとなる左ピンは、選手にとって最も重圧のかかるロケーションだったはずです。それをものともせず、最高の一打を放った技術と精神力。このイーストレイクGCをホームコースとしていた“球聖”ボビー・ジョーンズも天国でうなっていたことでしょう。

最後にマキロイ選手、第一子誕生おめでとうございます!(解説・進藤大典)

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