最高のゴルフ場に最高の選手たち “第5のメジャー”はダテじゃない
TPCソーグラス 18番パー4(462yd)
いよいよ「ザ・プレーヤーズ選手権」が始まります。舞台はPGAツアーの総本山ともいうべきTPCソーグラス(フロリダ州)。今年1月に亡くなった“鬼才”ピート・ダイ氏の代表作とされるコースですね。浮島グリーンが印象的な17番を筆頭に池が絡むホールが多く、数々のドラマを生んできました。
高精度のティショットが要求されるのはもちろんのこと、軽く13フィートは出る超高速グリーン。昨季から13年ぶりに3月開催に戻ったことで、5月開催のとき以上に風が厄介になりました。夏芝のバミューダに冬芝のライグラスがオーバーシード(冬場には枯れてしまう夏芝に、冬芝の種子を蒔き、1年中緑の芝生を維持する管理法)されていますが、午後になれば強風が吹き、グリーンが一気に乾いて硬くなる「フロリダシリーズ」の特徴は一貫しています。
練習環境からして感動を覚えるレベルです。対面で打てる400ydのドライビングレンジに加え、アプローチグリーンもパッティンググリーンも素晴らしいコンディションが保たれています。最高のゴルフ場に、4大メジャーをしのぐフィールドともいわれる最高の選手たちが集う4日間。“第5のメジャー”と呼ばれる所以を随所に感じます。
チェックするのは最終18番。ビッグトーナメントのラストを飾るにふさわしい、プレーヤーの技と勇気が試されるフィニッシングホールです。グリーンまで続く左サイドの池に打ち込む選手を何人見てきたことか。右サイドにもトラブルに直結する林が待ち受け、安易に池から逃げることを許さないのです。
硬いグリーンに対して距離を合わせられるかがポイントのセカンドショットでは、左奥ピンが特に難しい。奥に外せば逆目のアプローチ、手前の段に乗せてもロングパットで繊細なタッチを出さなくてはいけません。
4年前の2016年、松山英樹選手はジェイソン・デイ(オーストラリア)と2サムで最終日最終組をプレーしました。当時世界ランキング1位に君臨していたジェイソンは、前半で2つスコアを落とす苦しいゴルフを強いられながら、逃げ切って勝利をつかみました。このコースでは、1打差2打差はあってないようなもの。ギャラリーにとっても最後まで手に汗握る、気の抜けない展開が待っていることでしょう。(解説・進藤大典)