2020年 WGCメキシコ選手権

キャディ泣かせのメキシコシティ すべてが試される17番

2020/02/20 18:36

チャプルテペクGC 17番パー3(172yd)

少しでも左に曲げれば池に吸い込まれそうな17番(Hector Vivas/Getty Images)

WGCが世界のゴルフコースベスト100に選ばれる当地に舞台を移して4年目。選手はもちろん、サポートするキャディたちも万全のコンディションで乗り込んできたはずです。メキシコシティの標高は約2250m。富士山の中腹並みの高地です。しかも、アップダウンの激しいコースを歩き続けるわけですから、息が切れるどころか、体調を崩してしまう選手や関係者が毎年少なくありません。

何より大変なのは、距離計算です。気圧が低く、空気抵抗が少なくなる分、普段よりも飛ぶことは知られていますが、増加の割合に15~18%ほどと幅があるのが注意点。グリーンが硬く、フェアウェイもよく転がるので、選手とキャディは通常の何倍も計算に神経を使います。練習日のうちに弾道計測器「トラックマン」を使って数値を細かくチェックし、さらに実際にコースを回ってどれだけ距離感をつかんでおけるかが重要になります。

距離も短く、一見サービスホールだが…

準備段階で頭が痛くなりそうですが、17番(パー3)をピックアップして見ていきましょう。172ydと距離は短く、一見サービスホール。ただ、左の池が絶妙に効いています。少しでもボールを左に曲げればすぐ池に入る傾斜になっていて、右サイドに逃げれば逃げるほど、右から左の下り傾斜となる2打目は難しくなります。横幅はわずか15ydほど。西よりの風が吹きやすい時期でもあり、左からの風がまた厄介です。

そして、真ん中が高く、手前と奥に向かって下る2段グリーン。高地で最も惑わされる縦の距離感が、やはりカギを握ります。ボールを捕まえすぎれば池が、少しでも逃げれば難しい寄せが待っています。技術、自信、勇気…。フィニッシュの18番を目前にして、選手たちはティショットの一打ですべてを試されることになります

縦の距離感に神経を使う2段グリーン

1年前は、この地でダスティン・ジョンソンが節目を迎えました。ロリー・マキロイに5打差をつけ、ルーキーイヤーから12シーズン連続Vとなるツアー通算20勝目。永久シード獲得の条件を1つクリアし、WGCのタイトル数でも18勝のタイガー・ウッズに次いで2番目となる6勝目。着々と偉大なプレーヤーへの道を歩んでいます。新たにどんなドラマが生まれるのか、今から楽しみです。(解説・進藤大典)

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