2020年 AT&Tペブルビーチプロアマ

美しく、そして難しい 帝王が愛したペブルビーチの崖越えショット

2020/02/06 07:17

ペブルビーチGL 8番パー4 (418yd)

帝王が愛した景色。グリーン方向から眺めても、もちろんとびきり美しい(David Cannon/Getty Images)

「生涯最後のショットをするなら、ペブルビーチ8番のセカンドショットを迷わず選ぶだろう」

“帝王”ジャック・ニクラスは、かつてこんな言葉を残したそうです。開場100周年となった昨年、6度目となる「全米オープン」が開催されたペブルビーチGL。今週はトップアスリートや世界的セレブもカリフォルニア州のモントレー半島に集い、選手たちは4日間1人のアマチュアとチームを組んでプロアマ形式で戦います。2016年には東北福祉大で同級生だった岩田寛選手がフィル・ミケルソンと優勝争いを繰り広げ、僕も思い出深い大会です。

昨年、初めて撮影の仕事で行きプレーしましたが、その感動を記していたら、いくらページがあっても足りません。それでは、ジャックが愛してやまない8番をチェックしていきましょう。

打ち上げとなるフェアウェイは途中から海に向けて下っている

フェアウェイの落としどころが見えない打ち上げのつくりが、まずティショットの不安をあおります。258yd地点からは断崖絶壁。ただ、230yd地点からすでに下り傾斜が入っているのがポイントです。海に吸い込まれるリスクを避けるため、多くの選手は170yd地点にレイアップします。

上からの傾斜が強く、グリーン奥には絶対に外したくない

崖越えのセカンドは、グリーン左手前の花道から攻めていくのがセオリー。その花道も、少しでも弱ければ20ydほど戻されてしまいます。嫌がって奥に外すと、上からの傾斜が強く、絶対に寄せられません。右手前のバンカーからパーを拾うのも至難の業です。カップを切れる位置こそ限られていますが、わずか9ydの縦幅を狙って打っていかなければいけません。本当に完璧なフェードボールを打てた選手だけが、グリーンオンしてバーディパットを打てるのです。

右手に広がるオーシャンビューと奥にそびえる山々。雄大な自然のコントラストに身を震わせながら、究極の一打を放つ―。ジャックの心をとらえて離さないゴルフの真髄が、ここにあります。(解説・進藤大典)

2020年 AT&Tペブルビーチプロアマ