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【WORLD】United They Stand(2) 戦場からゴルフコースへ 米国退役兵とボランティア

2011/11/01 12:28

Golf World(2011年10月24日号) texted by Ron Sirak

今年は2001年9月11日に起こったアメリカ同時多発テロから10年という節目にあたり、アメリカンレイクでもチャリティコンペを開催。総額3万ドルもの募金が集められ、同GC、そして戦争でその後の人生が激変する重傷を負った退役兵士へ使われることに。ベトナム戦争や、20年前に起こった湾岸戦争の時代とは異なり、当時反戦の立場を取っていた国民も、今では兵士達に理解を示し、戦時下に従事する兵士の数も極めて少数であると認識するようになった。

軍隊自体も、戦争で多くを失い傷ついた兵士達を社会に適応させるシステムを作るように変化。フォートルイスでは、2008年にWarrior Transition Battalion(以下WTB)という組織を結成。この組織には600名を超える負傷兵士、女性士官が所属し、負傷以前と変わらず、他の部隊と同様国家に従事している。そして回復治療の一環として、ゴルフが取り入れられている。

WTBに所属するケンドリック・ラミレスにとって、アフガニスタンで経験した記憶は忘れられないほど凄惨なものだった。2010年3月、同地の戦場病院で目を覚ますと、彼は片足を失っていた。当時29歳だったラミレスは、3月29日、ストライカー装甲車を運転中に事故に遭い、車体本体が身体の上に乗り上げ、片足切断を余儀なくされた。それから18ヵ月後、彼はアメリカンレイクで生涯初となるゴルフに挑戦することになる。

ラミレスは、ベトナム戦争中に大尉として活躍した退役軍人であり、現在はアメリカンレイクでアクティビティー推進ディレクターを務めるグレッグ・グーチに「片足でどうボールを打てと言うんです?」と訊ねた。ラミレスをゴルフに誘ったのもグーチで、ここには切断手術を受けた人間でもヒッティングポジションを取れる電動式カートがあることを説明すると、ラミレスは「これは夢なのか?僕は夢を見ているのか?」と感動したという。翌日からラミレスはカートに乗り、シミュレーターでゴルフの練習を始めた。

「WTBに所属する兵士達の多くは、今までゴルフを経験したことがなく、戦争の無い社会生活に順応しようと努力を重ねています」と話すのは、退役軍人であり、かつてPGAツアーに参加していたプロゴルファーのリンドリー・ウィックス。アメリカンレイクのインストラクターの中でも、ゴルフ指導の経験を持つ12人の内の1人だ。「多くの兵士達は一生涯頭から離れないほどのトラウマを体験しています。彼等に必要なことは、自分の人生を取り戻す為のチャレンジで、我々はそれを提供出来るようサポートしています」。

現在64歳になるジム・マーティンソンは、ベトナム戦争中の1967年、当時20歳の時に徴兵され、翌年には地雷を踏んで両足の膝から上までを失った。今では週に何日かゴルフを楽しんでおり、先日は9ホールで2800ヤードのコースを往復してベストスコア88を記録。非常に活動的で、ゴルフ以外にも障害者が出場するスキーレースで優勝、そして1981年にはボストンマラソンの車椅子部門でも優勝。同マラソン大会では、他に4度も2位入賞を果たしている。そんなマーティンソンも、両足を失うまで一度もゴルフをプレーしたことが無かったという。

「私にとって最も重要なことは、ゴルフなんてやれないと思っている連中をここに引っ張ってくること。私は両足を失ったからこそ、今の人生があると思っている」と語るマーティンソンは、VAホスピタルに通院していた際に、アメリカンレイクの存在を知った。「最初はゴルフなんて富裕層や、隠居生活をしている人間の為のものだと思っていた。友人から薦められて立ち寄った瞬間、『これこそ自分のような人間に必要なもの』ということがわかったよ」。

87歳のジム・トーンキストは、第二次世界大戦中、B24爆撃機のエンジニアとして、イタリア上空から榴散弾(りゅうさんだん)を投下するミッションに関わった。「戦争終結時には482発もの榴散弾を投下した」と当時を振り返るトーンキストは、この21年間アメリカンレイクでボランティアをしている。「ここに来るまで一度もゴルフをしたことなんてなかった」というトーンキストも、「友人から協力を依頼されて来てみたら、もう離れられなくなっていた」と現在に至るまでの経緯を話してくれた。

このようなストーリーは、アメリカンレイクに携わる多くの関係者から聞く事が出来る。23歳から93歳までのボランティアは、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタンの紛争を体験した元兵士ばかり。アメリカンレイクは、そうした戦争体験者の話を聞ける場所であり、ゴルフが出来る場所でもある。そのため服装はラフな場合も多い。マーティンソンは「ここはブルーモンスター(マイアミ)じゃないけれど、ゴルフコースであることには変わらないよ」と語る。

米国ゴルフダイジェスト社提携
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