また新作ですかい!?「MG4」と「TP Reserve」女子ツアー最前線ルポ
◇国内女子◇NEC軽井沢72ゴルフトーナメント ◇軽井沢72G北コース(長野)◇6702yd(パー72)
秋に発売を予定している注目ギアたちが、雨後の筍のようにプロのバッグからニョキニョキと顔を出しているが、その中でも勢いを感じるのがテーラーメイド勢だ。前週のNEC軽井沢72ゴルフトーナメントで「P790」アイアンを発見したかと思えば、2年ぶりの新作「MG4」ウェッジに加えて、「TP Reserve(リザーブ)」パターまで投入してきた。記事を書く我々の消化が追いつかないほどの攻勢だが、プロの反応や使用状況はどのような状態になっているのか、ひとつおさらいしておこう。
丸みを帯びた「4」は雨に強くなった
まずは「MG4」ウェッジから。米ツアーでは6月ごろに展開が始まっており、その存在を知っている方も多いだろう。国内ツアーでも7月からテーラー契約選手を中心にテストが始まっていた。手にした女子プロが口をそろえて言うのが「丸くなった」ということ(何もこれまでの行いを反省したわけではない!)。構えたときの“見た目”がこれまでのMG(ミルドグラインド)シリーズよりも、だいぶ丸くなったというのだ。
実際にMG4のカオを見ると、リーディングエッジもトップラインもこれまでのMG3より丸みを帯びていて、シルエットは全体的に丸く見える。これまで「RM22」(フォーティーン)を使ってきた脇元華が「NEC軽井沢」から58度をMG4にスイッチしたというのも、「見た目を気に入っていました」(テーラーメイドスタッフ)とその丸みによるものが大きいようだ。実際に試合でも好感触だった様子で、「だいぶ新しいウェッジに助けられました」(脇元)と2試合ぶりに予選を通過して20位タイでフィニッシュした。
新しいMG4の特徴は、何といってもそのフェースの溝。フェース面をよく見ると、ヒール上からトウ下に向かって斜めに細かいミーリングが入っている。この溝に水はけ効果があるようで、契約選手の永峰咲希も「ウェットな条件でもスピンが入る」と評価し、48、52、58度の3本ともMG4へスイッチした。このミーリングの斜めの角度、フェースを開いた時にちょうどボールがフェースに接地するラインと直角に近くなるようにできているから実に面白い。
今週の「CAT Ladies」でも山路晶らがテストしてすぐさまバッグに入った模様。立ち上がりの評判は上々だ。
“トラスっ娘”の稲見が人知れず…
テーラーメイドのさらなる新作が、削り出しのフルミルドパター「TPリザーブ」だ。こちらも取材を進めると、女子ツアーでじわじわ浸透し始めていることが分かった。ひとつ誤解を招かないようにおさらいをしておくと、「TPリザーブ」にはトラスネックと通常ネック(クランクネックやセンターなど)の2種類があり、それぞれピン型、マレット型の数機種ずつがラインアップされている。
中島啓太はクランクネックのピン型「B11」というモデルをいち早く投入し、今季活躍している(同モデルはプロトタイプで発売未定)。女子ツアーでは7月から通常ネックモデルの展開が始まり、トラスネックは8月になってようやくプロの手に渡り始めた。今は通常ネックとトラスネック、それぞれの使用選手が混在している状態だ。
早速、女子ツアーの使用状況を調べてみると…なんと元々のトラスユーザー(トラスTB1)だった稲見萌寧が、いきなりそのTPリザーブのトラスネック「B2TH」にスイッチしたというではないか。「打感が柔らかく、距離感を出しやすい」(稲見)というのが理由。春先に発売されたカーボントラスネックの「TPトラス」には見向きもしなかった彼女だが、今回のモデルには食指が動いたようだ。元々インサート(ピュアロールインサート)が入っているモデルを使っていたが、それよりも打感が柔らかく感じたということだろうか。
永峰や新垣比菜もTPリザーブのトラスネックモデルにスイッチ。テーラー契約外の選手では金田久美子がマレットのセンターシャフト「M3TC」(トラスネック)を前週から使い始めた。同じく契約外の阿部未悠も、マレットだが少し形の違う「B3TH」(こちらもトラスネック、プロトタイプで発売未定)を選び、「これ、本当にイイです」と長く使ってきた「スパイダーGTx」からスイッチした。
TPリザーブの通常ネックモデル「B11」を使い始めた全美貞(韓国)は中島啓太が使っているのを見て、早くからその使用を熱望していたという。ようやく手にしたヘッドを打って、「スコッティキャメロンより打感が柔らかい」と気に入っている様子だ。
滑り出し上々のテーラーの新作ウェッジとパター。次週以降、試合が再開する男子ツアーでもその評価を聞いてみたい。(編集部・服部謙二郎)