流行の「ELEVEN」にプラス「2-BALL」は男子プロの琴線に触れるか
◇国内男子◇ASO飯塚チャレンジドゴルフトーナメント 事前情報◇麻生飯塚GC (福岡)◇6809yd(パー72)
稲森佑貴や比嘉一貴といった男子プロが優勝試合で使用するなど、好調のオデッセイ「ELEVEN(イレブン)パター」の新バージョンがツアー会場でお披露目された。ネオマレット型の形状はそのままに、ヘッド上部にはお馴染みの白い「2ボール」のディスク。ソールには「11 2-BALL」の文字がブランドロゴとともに刻まれている。
「操れる、新感覚マレット」の謳い文句で今年2月に登場したELEVENは大型ヘッドの特徴である高慣性モーメントを確保しながら、ソールのトウ側とヒール側にウェイトを配置することで、ブレードパターのような操作性も兼ね備えたモデル。そこに2000年代初頭に画期的なアライメント調整を実現し、一世を風靡した2ボールのデザインがプラスされた。
フェース寄りの重量配分は打点ブレに強いという特長もある。オフセンターヒットにも強い利点を生む半面、「球が前に転がっていくイメージが出る」というのは今回、新製品を手にした中里光之介。長らくブレードタイプを愛用しているが、「2ボールで安心感がプラスされた感じ。どちらを使うか悩む材料になります。ブレードを打つときのストロークの練習にもなりそう」とさっそく好印象を持った。
今夏に発売と見られる、ツアー会場に持ち込まれたモデルは4つ。同じヘッド形状でショートスラント、ダブルベント、クランクとネック形状が異なる3タイプと、白いディスクに赤と青のラインが埋め込まれたトリプルトラック仕様(こちらはダブルベントのみ)。中でもオリジナル(前作)のELEVENにはなかったクランクネックが「構えやすい」(池村寛世)、「捕まりがよさそう」(秋吉翔太)と多くの選手の第一印象で好評を博していた。
実はそれぞれ、ヘッドの投影面積が前作よりわずかに大きい。2ボールを埋め込むスペースを確保するためだ。名器として語り継がれる2ボールは、多くのツアープロにとっても信頼は揺るがない。池村は「最近、初期の2ボールブレードを中古ショップで買いました。今週も持ってきた」と言うほど。それゆえ、今作にも「それと同じくらい構えやすくて安心感がある」と納得した。
秋吉も若手時代に2ボールを愛用していた時期がある。ひとつ気になったのは、今作はすべてのモデルのディスクにラインが入っていること。「僕は(グリーンで)セットするときにボールのラインをターゲットに合わせる。個人的にはアライメントの線が多く並んで、はっきりしすぎるよりも、ちょっと“ぼやける”くらいのほうが良い。2ボールのうちの1つの線を消してもらおうかな」とカスタマイズを考えている。
ところで、今回初めて2ボールを使うかもしれない“世代”のプロもいた。久常涼が生まれたのは「2ボール」の誕生よりも後の2002年。「今まで使ったことはありません。僕が最初に使ったのは(テーラーメイドの)スパイダーだった」という19歳だ。
パッティンググリーンで受け取ったクランクネックモデルを眺め、「ちょうど構えやすいパターを1本欲しいなと思っていたところでした。オートマチックに振れる」と好感触。「グリーンが毎週キレイだから、構えだけちゃんと取れれば、入る可能性は高いじゃないですか。ただ、その構えることが難しい気がするんです。それをよりラクにさせてくれそうです」とうなずいた。