あの日、運命は変わった。
小学6年生の秋の日、雨上がりの校庭。ジャングルジムから滑り落ちて左ひじを骨折した。救急車で搬送された病院で緊急手術。ゴルフを始めてまだ間もない頃ではあったが、クラブを握ってアドレスを取ると、左ひじが自然と外側を向く後遺症が残った。
1993年11月20日。12歳の誕生日の出来事だった。
半袖のシャツを着るのが苦手だった。他人とは違う腕のカタチは、まぎれもないコンプレックスだった。
けれどいま思えば、そんなことは何でもない。人生をかけたゴルフのキャリアは挫折の繰り返しだ。アマチュア日本一のタイトルを獲る前には、ドライバーイップスに苦しんだ。鳴り物入りで飛び込んだプロの世界では、期待されたタイトルになかなか届かない。道のりはいつも直線的でなかった。もうダメかもしれない。何度もそう思った。それでも今なお、この歩みを止めようとは思わない。
高校時代に日本で行われたジュニアの世界大会に出場中、早朝の宿舎で、各国の代表選手たちとテレビにかじりついた。
2008年、カリフォルニア州で行われた全米オープン最終日。18番グリーンで渾身のガッツポーズを繰り返すタイガー・ウッズの姿を、同世代のライバルたちと一緒に目に焼き付けた。「子どもたちが自分に憧れてくれるような、プロゴルファーになりたい」。その願いは、これからも真っすぐだ。
大堀裕次郎 Yujiro Ohori
1991年11月20日、兵庫県生まれ。10歳でゴルフを始める。大阪学院大4年時の2013年に「日本アマチュア選手権」で優勝。翌年にプロデビューを果たす。16年末に日本ツアーのシード権を初めて獲得し、17年は賞金ランキング30位でシーズンを終えた。
182㎝、80kg、血液型B
写真/今井暖
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