ウンドを終え、クラブハウスに引き上げてきたプロゴルファーたちがつぶやく。「きょうはアイツと同じくらい飛んだ」、「アイツよりも飛んだホールがあった」。手応えに満ちた顔で彼らが言う“アイツ”の飛距離は、長らくツアープレーヤーたちの指標でもある。

永野竜太郎、30歳。小学生時代にゴルフをはじめ、中学生の時にはドライバーショットが描く軌道は300ヤードに届いたという。

学1年で地元コースのクラブチャンピオンになった。
——規格外、怪物的。恵まれた体躯から解放される圧巻のパワーは瞬く間に世間に知れ渡った。

名門高校、名門大学のゴルフ部で歩んだエリート街道。だが、プロとしての道のりは、頭に描いていたものよりもずっと険しい。デビューイヤーの2009年、初めて出場した春先の試合で予選落ちした。その悔しさが今も忘れられない。そして「1勝」が、ただ遠い。それでも曲げられない信念がある。飛ばしたい。誰よりも遠くに。「飛距離はやっぱり男子ゴルフの魅力。それはどこでも、いつの時代も共通だと思う」

ばしのプロが教える飛ばしのコツ。トップアスリートの本音はいつだってシンプルだ。「振る。振り切る」。システマチックなスイングの議論をするつもりはない。追求するのは限界の先の限界。そのまた向こうの限界。「それしかないんです。練習場では自分のリミッターを外して200%、振り切る。そうやってコースに行けば、半分の力で打っても100%の力が出るでしょう?(笑)」

永野竜太郎 Ryutaro Nagano
1988年05月06日、熊本県生まれ。同郷のプロゴルファー・清田太一郎と自身の祖父の影響で小学生時代にゴルフをはじめる。中学卒業後に水城高に進み、東北福祉大2年時にプロ転向を決意。2009年にツアープレーヤーとしてデビューした。13年から賞金シードをキープ。
181㎝、85㎏、血液型O

写真/和田慎太郎

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