あどけなさを残す、無垢なえくぼ。ホラー映画が嫌い。脂っぽい食べ物はニガテ。そんな見かけと嗜好の甘さに騙されてはいけない。クラブを握って間もない小学校高学年のとき、「プロゴルフは1位の選手にしかスポットライトが当たらない」と、愛息の行く末を心配した母を懸命に説得し、厳しい世界に身を投じた。「ゴルファーのキャリアは長い。頂点を極めようとしても終わりがない。でも、ゲームのすべてを自分の力で決められる。努力した分だけ報われる」21歳で海を渡り、日本ツアーのトッププレーヤーに定着。平坦であるはずがない道を突き進む覚悟は、とうの昔に決めていた。
ゴルフスイングは「身体が常に一方通行に動く」という。練習量が増加すれば、それだけ肉体の一部分にかかる負担は大きくなる。だからこそ、若年層のゴルファーにも伝えたいことがある。「年を重ねるにつれ、いずれ筋肉を大きくする必要性を感じる時が来る。ただし、身体のあらゆるバランスを整えることは一生かけてやらないといけない」
2020年、大韓民国の成人男子に義務付けられた2年間の兵役に就くつもりでいる。ゴルフ(の道)に導いてくれた父はかつて空軍のパイロットだった。プロになる過程においても、胸にはいつも母国と寄り添って歩く思いがあった。「ゴルファーのキャリアにとって、2年は長い」と正直に言う。「でも、その中で学ぶことは必ずたくさんあるはず。ゴルフの18ホールは、長い人生に例えられる。どんな時間も無意味なものにはしたくない」運命の受け入れ方は自分次第。いずれ戻った先にも、人生のホールはきっと多く残されている。
宋永漢 ソン・ヨンハン Young-Han SONG
1991年7月12日、韓国・水原生まれ 韓国トップアマとして慣らした学生時代を経て20歳でプロ転向。2012年末の予選会を通過して翌13年から日本ツアーに本格参戦した。アジアンツアーとの共同主管で行われた16年の開幕戦「SMBCシンガポールオープン」で初優勝。17年は賞金ランキング10位でシーズンを終えた。179cm、71kg、血液型O
写真/内田眞樹
(※)内田眞樹カメラマンは2018年5月11日に急逝されました。この写真は2月に撮影したものです。内田カメラマンのご冥福をお祈りいたします。
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