<佐渡充高の選手名鑑 68>ロバート・ガリガス
■ マムシの巣
会場はフロリダ州タンパ郊外のイニスブルックGCコパーヘッドコースだ。コパーヘッドの意味は毒蛇の“アメリカマムシ”で湿地帯の多いこの周辺に生息しているという。16番以降の最後の3ホールは、難ホールが続きスネークピット(へびの穴)と名付けられている。スネークピットにはもう一つ「大混乱の地」という意味がある。まさに16番以降では、これまで展開が急変する大混乱が起こってきた。昨年はもつれにもつれてルーク・ドナルド、ジム・フューリック、べ・サンムン、ロバート・ガリガス4人のプレーオフとなり英国のドナルドが混戦を制して今大会初優勝を飾った。今年も最後の3ホールが勝負のカギを握りそうだ。
■ 飛ばし屋ガリガス
そのプレーオフで惜敗したのがロバート・ガリガスだった。ガリガスと言えばツアーで屈指の飛ばし屋として知られている。3年連続平均飛距離1位だったバッバ・ワトソンを抜き、平均飛距離312ヤードで1位、ワトソンとは0.6ヤード差だった。2010年もトップで、2年連続1位に輝きそのパワーを知らしめた。その年の「リノタホ・オープン」では平均飛距離350ヤードを記録。標高の高い土地での飛距離とは言え、気の遠くなるような数字をはじき出している。その後の平均飛距離1位は、2011年にJ.B.ホームズが、2012年は再びワトソンが奪還する推移を辿っている。それでもガリガスはこの部門でトップと僅差で上位に留まっている。
■ 短尺かと思えば長尺パターと極端
ベリー、ロングパターの選手が急増しているが、彼は28インチの短尺パターを使用していた。これはツアーでは最短のパターだった。レギュラーパターは33インチから35インチなので7インチ(約20センチ)近くも短い。短尺を使うようになったのは大学時代まで遡る。ショートパットをことごとく外していたガリガスは、19歳の頃、フィッティングセンターで様々なことを試してみた。長さの違うパターを何本も試し、28インチのパターが最も狙ったところに構えやすいことを発見。「効き目が左で、腕が長いからこの長さが合ったのだ」と考えている。ガリガスはとても気に入り、そのパターに“Mini-Me”という名を付けるほどだった。このパターでミニツアー、ウェブドットコムツアー、そして夢のPGAツアーの出場権を獲得。ところがこのパターでずっとプレーするのかと思っていたら、昨年から一転、47インチの長尺パターを使用していた。このパターには“Dr.Devil”という名を付けるほど気に入っていたようだ。さらには、昨年秋から34インチのノーマルパターに替えるなど、このところパターをよく変更する。ツアーでは1勝、昨年は2位4回と好成績を挙げているガリガスだが、2勝目を挙げる時は一体どんなパターを使っているのか。