2012年 WGC キャデラック選手権

佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第二十八回】

2012/03/06 10:00

■ 「WGC キャデラック選手権」の歴史

世界ゴルフ選手権年間4試合のうちのひとつとして99年からスタートし、今年で13年目を迎える。2000年までスペインのバルデラマGCで開催され、その2000年はUSPGAツアーでは賞金ランク対象の最後の試合となり、賞金王や各スタッツのランクが確定した。2001年からは9月に日程変更され、会場も米国ミズーリ州ベルリーブCCで開催予定となるも、同時多発テロのため中止。2002年はアイルランドで開催された年もあるが、2007年以降は、フロリダ州のTPCブルーモンスターatドラールで開催されている。1999年から2006年まで「WGCアメリカンエキスプレス選手権」、2007年から2010年までは「WGC CA選手権」、2011年から現在の「WGC キャデラック選手権」と大会名称を変更している。

モンスターと呼ばれる所以のひとつである18番ホールのディグランドから、ティショットを放つ昨年覇者のN.ワトニー※写真は2011年WGCキャデラック選手権(Mike Ehrmann/Getty Images)

■ “ブルーモンスター”と言われる所以

その開催コースであるフロリダ州のTPCブルーモンスターatドラールは、“ブルーモンスター”の愛称で親しまれている。迫力、インパクトともに強く、“ブルーモンスター”と言われる所以のひとつは、12番の600ヤードを超えるパー5だ。現在ではそう珍しくはないものの、当時は600ヤードを越えるロングホールは少なく、難攻不落なホールからその別名がついた。しかしそれだけではなくもうひとつ難所が存在する。18番のパー4がそれだ。フェアウェイ左サイドに沿うようにして池が広がり、467ヤードのミドルホールとなっている。さらにティショットのランディングエリアは、フェアウェイがくびれるような形で池が張り出し、そのエリアを超える飛距離を持つ選手であれば比較的攻めやすいのだが、ちょうどそのあたりが平均飛距離となる選手にとって非常に難易度を高める。あれだけのプレッシャーと、時折吹く風の影響もあり、2人に1人、または3人に1人の選手が池にいれてしまうことさえある。平均ストロークも、毎年、タフエスト50(toughest 50)に入るほど難易度が高く、それゆえ“モンスター”と呼ばれる所以だ。余談だが、18番のティグラウンドに上がる途中の立て看板には「(省略)このホールをパーで上がれれば素晴らしいスコアになるでしょう!Good Luck!」と書いてあり、なにか闘争心を掻き立てられるような、チャレンジングな気持ちにさせる。

■ 飛距離の出る選手が強さを発揮する

昨年、ニック・ワトニーが勝った時、私は、「次はメジャーで優勝するのではないか」と思ったほどだ。難しいホールで、しかも強豪が揃う大会で勝つことができるのは、本当に力のある選手だけなので、自分のキャリアの中でメジャータイトル前の、布石を打つような1勝だったと思っている。過去にタイガー・ウッズはこの大会で6勝を挙げ、うち世界選手権となった07年、同コースで行われた大会も制している。飛距離のある選手が優位となるコースでは、タイガーのような飛距離を武器にする選手が非常に強さを発揮するのだ。

2012年 WGC キャデラック選手権