データ伝道師、エドアルド・モリナリが語る情報分析の重要性
エドアルド・モリナリといえば、2005年「全米アマチュア選手権」の王者として、あるいは、2010年「ライダーカップ」で勝利した欧州選抜の一員として、あるいは彼が挙げたDPワールドツアー3勝により彼のことを知っているかもしれない。
また、2023年「ライダーカップ」欧州選抜の副キャプテンとして、あるいはフランチェスコ・モリナリの兄として、彼のことを知っている人もいるだろう。
しかし、彼がエンジニアリングを専攻したトリノ工科大学の卒業生であり、最近、アーコスゴルフにより新たに最高データ戦略責任者、そしてツアーアンバサダーの長であることが発表されたことをどれくらいの人が知っているであろうか。
2020年に設立され、最近アーコスプロインサイトへと変貌を遂げたスタティスティックゴルフの創設者であるモリナリは、ここ数年で、ツアープレーヤーのためのトップレベルのデータ分析者としての地位を固めてきた。当初、単純なエクセルシートから始まった作業が、彼の同業者への正当なビジネスサービスへと変容したのである。
モリナリは世界的に30人以上のプロと仕事をしており、これにはマシュー・フィッツパトリック(イングランド)、ビクトル・ホブラン(ノルウェー)、そしてネリー・コルダも含まれる。このイタリア人選手は、まだプロとしてDPワールドツアーとPGAツアーで競技に参加しており、今週「バラクーダ選手権」のフィールドにも名を連ねた。
今日、モリナリはスタッツを手書きで追い、ショットリンクとエクセルのスプレッドシートに頼るのではなく、現在彼が開発に従事しているアーコスのデータ追跡システムと分析プラットフォームに全幅の信頼を置いている。
アーコスはゴルフクラブのグリップエンドに装着したセンサーを使用するゴルフアプリであり、これで全てのショットを自動的に追跡し、上達への見識を提供する。モリナリは練習ラウンドであれ、プロとして出場する競技のラウンドであれ、必ず使用するクラブにアーコスのセンサーを装着してプレーする。
今週、モリナリは、「各ラウンドの終わりに、データが正しいことを確認するため、少しばかりの調整を行い、その後、自分のスマホで全体的な自分の飛距離、ドライビングのスタッツ、ティショットでの分散具合を見ることができるんだ。グリーンを狙うショットも同じことで、これは異なる距離、ショートゲーム、そしてライに応じてストロークゲインドを分析してくれるんだ。バンカーから、ラフから自分がどれくらい良いのか分かるし、グリーン周りや、自分がどれくらいの飛距離を出しているのかも分かるんだ。パッティングも同じで、距離に応じて分析するんだ」と述べた。
「だから基本的に、僕はプレーするときも練習するときも、これを使っているね。自分のゲームについてのデータを収集すると、練習する際、自分がフォーカスしなければならないエリアに焦点を当てられるし、同時に、これからの数大会へ向けての良い準備ができるので、とても助けになるんだ。知っての通り、僕は自分のキャリアを通じて、もう随分長いことスタッツや分析情報に没頭してきたし、アーコスを使うようになって、自分はそれを新たなレベルに押し上げているように感じている。彼らにはとても助けられている。僕はアプリの開発で彼らを助け、自分のニーズに合わせて使い勝手が良くなるようにしてきたんだ。これまでのところ、最高のパートナーシップとなっているね」
モリナリは、データ重視のアプローチは戦略面で最も効果が出ており、より詳しく説明すると、それは彼にティショットでそれまでより頻繁にドライバーを使用することを開眼させたと述べた。
「戦略は重要だね。特にティショットではそうだと思うのだけど、僕はドライバーが得意で、数字を深掘りしてみると、僕はこれまでよりもっと頻繁にドライバーで打てることに気付いたんだ。だから、最近僕は他の選手たちよりも頻繁にドライバーを使っていると言えると思う。単純にその理由の一つ目は、僕は平均よりも精度が高いところで、二つ目は平均よりも飛距離が短いところ。特に短めのホールでは、できるだけドライバーで打って前へ飛ばそうと思っていて、このエリアでは間違いなくショットの貢献度は高いと思う」
ドライバーに関して言うと、モリナリは最近、タイトリストの新しいGT3(ロフト角8度)ドライバーに替えているが、彼によると、新ドライバーはそれまで使用していたドライバーと比較すると、スピン量の一貫性が高まっており、飛距離も大体5、6ヤードほど伸びたとのこと。
セットアップの下の方の番手に目を向けてみると、モリナリは4本のウェッジ(PW、52度、56度、60度)を使用しているが、これはデータの裏付けがあって辿り着いた結論だった。
「数字を見てみると、3番アイアンではなく、ウェッジでもっとスコアが稼げることに気が付いたんだ。だから、実際のところ、僕の4番アイアンとハイブリッドの番手感のギャップは少し大きめなんだよ。ただし、肝心なのは、そこまでグリーンが遠ければ、とにかくグリーンに乗せようとだけ考えるものなんだ。その辺で完璧な数字は必要としないけれど、グリーン周りでオプションが増えるのは重要なことで、75~125ヤードのショットは特にそうだね」とモリナリは続けた。
ただし、全てが数字にがんじがらめになっているわけではない。時には、選手仲間によるアドバイスという古き良き手法が奏功することもある。
昨年の「バラクーダ選手権」にて、モリナリは選手仲間でありPGAツアー14勝のアダム・スコットによる助言もあって、L.A.B.ゴルフメッツ1マックス ブルームスティックパターを手にした。
「このパターはかなり気に入っているね。特に、クラブの重心にシャフトが来ているテクノロジーが良いね。ストロークを通してとても安定しているように感じる。とても重いヘッドで、間違いなく以前よりも良いパットをさせてくれるんだ」とモリナリ。
「昨年、この大会の直前まで、僕はしばらくの間、パッティングの調子をかなり落としていたんだ。それで。ここへ来ると、練習グリーンにL.A.B.のレップがいたんだ。その前の週にアダム・スコットと話をしたばかりで、知っての通り、アダムは随分前からL.A.B.のパターを使っているのだけど、彼は僕に、パッティングで苦労しているのであれば、とにかくこれを試してみると良いよ、君の助けになると思うから、と言ってくれたんだ」
「それで、ここへやって来たのだけど、期待値はかなり低かったんだ。ただ、パターを試してみると、即座に良い感触が得られたんだ。パターをバッグに入れ、最初の2日間、そして週末とパットはとても良く、それ以来、このパターはずっとバッグに収まり続けているという訳さ。これは僕がこれまで使ったどのパターよりも安定していて、信頼感があると感じているんだ」
今週は2日間をプレーして通算3オーバーで予選落ちを喫したが、これからもデータ追求は続きそうだ。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)