マット・クーチャーの唯一無二のパターはロフト角0度
◇米国男子◇RBCカナディアンオープン 初日(30日)◇ハミルトンG&CC (カナダ)◇7084yd(パー70)
ゴルフにおいて、パッティングのパフォーマンスは特に目に留まりやすい。この数年はアームロック式パターの人気に火が付いた。マット・クーチャーは、このトレンドを“逆転”させ、自分にぴったりのパターを手に入れた。
一風変わったベティナルディのプロトタイプパターを使っている。一般的なアームロックスタイルは左腕を固定するが、クーチャーは右腕を固定する“リバース・アームロック”のため、アドレス時に手元がボールの後方に来る。プロトタイプパターは、このスタイルに合わせて特別に作られた。
リバース・アームロックでは「ロフト角0度」のパターが必要だ。通常のパターはロフト角が2~5度あり、ボールの後方に手元がある状態からのストロークだと角度が付きすぎてしまい、出球が跳ねてしまう。ロフト角を0度にすることで角度を相殺し、より速い回転でボールを転がすことができる。
2021年にこのスタイルを始めたクーチャーは、グリップエンドを右前腕の内側に固定させるため、長さ40.5インチのパターが必要だった。また、パターに安定性とフィーリング、そして打音の向上を求め、2000年代初頭から、ベティナルディに要望を出していた。
ベティナルディのパターレップ、ニケ・ガロファロ氏は、GolfWRX.comに「フィーリングを損なわない形で、我々はBB28のヘッド形状にいくつかの改良を加えた。ネック位置を改め、センターシャフトはそのままに、マイナスのオフセットを施した。更に、重心位置、打感、そして打音を最適化させるため、ポケット内にアルミ製インサートを加えた。我々のFIT(フィール・インパクト・テクノロジー)フェースにこうした改良を合わせることで、マットの望んでいたフィーリングと見た目を達成することができた」と話した。
このパターの製作には数カ月を要した。クーチャーは「ウェルズファーゴ選手権」で初めて最終版のプロトタイプを見て、すぐにテストを開始し、2週間後の「チャールズシュワブチャレンジ」でバッグに入れた。同大会ではストロークゲインド:パッティングでトップに立ち、17位タイでフィニッシュした。
唯一無二のパターとの初タッグとしては、悪くないスタートだった。
クーチャーはハミルトンG&CCで開催される「カナディアンオープン」に出場。ここでも新パターが同活躍するかに注目だ。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)