“ジェイルバード狂騒”の火付け役 ファウラーが通常の長さのパターに回帰
◇米国男子◇ウェルズファーゴ選手権 事前◇クエイルホロークラブ(ノースカロライナ州)◇7558yd(パー71)
多くのゴルフファンが認める「オデッセイ ジェイルバード パター」の使い手であるリッキー・ファウラーは、今週の「ウェルズファーゴ選手権」で、一躍有名になった自身のパターセットアップに大掛かりな変更を加える模様だ。まずは、ここまでの経緯を簡単に振り返ってみよう。
2023年1月、ファウラーは17インチのスーパーストロークツアー3.0グリップを装着し、重量配分の目的でソールに鉛テープを貼った「オデッセイ バーサ ジェイルバード パター」を実戦投入した。
ファウラーはパッティングに苦しんでいたが、長くなったパターと、ジェイルバードのマレット型ヘッドが問題解決に一役買ったのである。「これにはとてもショックを受けたよ。これまで一度も長めの物や、カウンターバランスみたいな物は試したことがなかったからね。ある意味、これは僕を自由にしてくれたんだ。ストロークやスタンスを変えたわけではないし、通常の長さのパターを使う時と握り方を変えているわけでもない。僕のために何かを果たしてくれて、僕が考えなくても良いようにしてくれている感じがする」と述べている。
このパター変更の効果が実証されると、ツアー仲間たちも注目し始め、中にはファウラーのレプリカパターに替える選手も現れた。最もよく知られているのは、ウィンダム・クラークがよく似たジェイルバードパターのセットアップで2023年「全米オープン」を制覇した話で、その後、ジェイルバードは2023年のギア10大ストーリーのひとつに数えられるまでになった。
このジェイルバードを巡る盛り上がりを受け、オデッセイは限定版の「ジェイルバード380」をリリースしたほか、新しいAi-ONEシリーズにも同形状のヘッドを何種類か盛り込んだ。
2024年になっても“ジェイルバード狂騒”は収まりを見せていない。オデッセイのツアーレップ、ジョー・トゥーロン氏によると、現在PGAツアーには18~20人のジェイルバードユーザーがいるとのことである。
最近では、アクシェイ・バティアがブルームスティック式のジェイルバード380で2024年「バレロテキサスオープン」を制覇したほか、今週の「ウェルズファーゴ―」では、ウェブ・シンプソンがこのパターのレプリカに替えようとしている。
そして今、狂騒の火付け役であるファウラーが、自身のセットアップに大幅な変更を加えようとしている。
4月「RBCヘリテージ」以降、2週間ほどオフを取ったファウラーは、それまで使用していた38インチのカウンターバランスのセットアップではなく、標準的な35インチのパターに組まれた、新しいカスタムオレンジのジェイルバード380ヘッドを試し始めた。今もジェイルバードヘッドの見た目と寛容性は気に入っているものの、そこへ再びパッティングストローク中の両手の感覚を合わせ込もうとしているようだ。
今週の「ウェルズファーゴ―」の火曜、GolfWRX.comに対し、38インチのセットアップは、ストローク中の手の動きを無力化することで「役目を果たした」のだが、今は自身の感覚とスピード(タッチ)のコントロールのため、標準的な長さのパターと標準サイズのスーパーストローク ピストルツアーグリップを試してみるべき頃合いだと語った。
ファウラーは火曜に長さが標準のL.A.B.ゴルフ、そしてアクシス1のマレット型パターも試しているところを目撃されているが、今週使うパターはカスタムのジェイルバード380になることを明言している。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)