クリス・カークの開幕戦Vに貢献したオデッセイの“AI設計パター”
ここ数年、キャロウェイは設計プロセスの強化に人工知能(AI)を使用することにおいて、業界の第一人者として確固とした地位を築いてきた。
同社の研究開発部門は、実際のゴルファーのスイングのデータポイントと、AIによる分析を結び付け、ゴルファーがミスヒットする傾向のあるフェースの特定の箇所を割り出した上で、設計の段階で場所によって厚みの違うフェースを作り出し、パフォーマンスの向上を生み出してきた。ゴルファーにとって、これはフェース全体での初速と寛容性の向上という結果をもたらし、一貫性と飛距離が格段にアップしたのである。
この技術はドライバーやフェアウェイウッドといったロングゲーム用のクラブで役立ってきたが、最近、同社はこの設計プロセスをパターの分野にも導入した。グリーン上におけるゴルファーのスピード(タッチ)の一貫性を補助するため、新しいオデッセイの「Ai-ONEミルドパター」は、フェース全体のそれぞれの箇所で厚みの異なるフェースインサートが装着されており、ミスヒットにおけるボールの転がりの制御を補助している。
オデッセイによる新しいパターフェースのテクノロジーはPGAツアーの選手たちの中でヒットを飛ばす結果となり、大勢の選手たちがこぞってAi-ONEミルドパターに変更した。キャロウェイ契約選手のサム・バーンズは、オデッセイが正式に発表する前にプロトタイプのAi-ONEパターへと乗り換えている。以降、ツアープレーヤーによる使用率は増加の一途をたどっている。
Ai-ONEパターは11月初旬に一般向けにリリースされたわけだが、この度、AIパターは公式にPGAツアーで初勝利を挙げた。
日曜日(7日)にハワイのカパルアにあるプランテーションコースにて、クリス・カークは、プランバーネックで構築され、オデッセイの新しい軽量且つ低トルクで90グラムのストロークラボ・スチールシャフトの装着された新しい「Ai-ONE MILLED SIX T CH(クランクホーゼル)」を使用し、2024シーズン開幕戦「ザ・セントリー」を制覇したのである。
カークのパターのフィッターであるオデッセイのツアーレップ、コディ・ヘイルによると、カークは昨年の「RSMクラシック」でAi-ONEミルドの#7に変更し、その後、自宅でより大掛かりなテスティングを行った上で、「ザ・セントリー」優勝モデルとなったSIX T CHモデルへの変更を行ったとのこと。
ヘイルはGolfWRX.comに、「彼はRSMクラシックで#7に乗り換え、あのヘッドをかなり気に入ってはいたのだけど、その一方で、ここ何年かにわたり丸みを帯びたロッシースタイルのパターで成功を収めてもいた。あのミッドマレット形状は本当に彼の目に馴染んでいるんだ。そして、フェースのAI技術がわずかなミスヒットやオフセンターヒットに対して、ボールの速度を保つ手助けをする。仮にその速度の一貫性が30、40、あるいは50フィート(約15m)からの3パットを1年間で1度でも減らすことができたなら、それは大きな勝利なんだ」と述べた。
ツアーや販売店の棚で出回っている他のAIパターと比較すると、カークのパターはかなりさっぱりとした見た目になっている。これは、彼がサイトラインのないクラウンを好むが故であり、これによりターゲットに対してより良く狙いを定めることができるのである。また、カークのパターの長さは36インチだが、ツアーにおける“標準”の35インチパターより1インチ長い仕様となっている。
これはヘイルとカークが2023年に気付いたことであり、カークは長めのパターの方が少し高めに構えて立てることから、ストロークを通して“詰まった”感じを減らすことができるため、アドレス時の姿勢がより楽になるのである。
データやクインティックボールロール技術といったパフォーマンス面のフィードバックは、新しいテクノロジーによりカークのボールスピードの一貫性が増したことを立証した。そして、見た目の好みにあった然るべきヘッドへの微調整により、カークが2024年最初の勝利を手にしたことで、このパター変更と新技術の有益さはさらに実証されたのである。
カークは「ザ・セントリー」の1週間を、トータルパッティング、全体の平均パット、そしてラウンド毎の平均パット数の全てを1位として終えた。これは彼にとっても、オデッセイAi-ONEミルド SIX T CHパターにとっても最高の出だしとなった。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)