「全米プロ」ラフ対策にハイブリッドを投入する選手たち
オークヒルCCイーストコースはメジャー王者にさえ距離の長いコースだが、「全米プロゴルフ選手権」に出場する選手の大多数にとって、距離は最大の懸念点ではない。
彼らが最も警戒しているのはラフである。
トミー・フリートウッドは「必ずしも飛ばす必要はないと思う。確かにそれが常にアドバンテージになるホールもあるけれど、フェアウェイを捉えさえすれば、日を追うごとに硬くて速くなる(距離が稼げる)だろう。(ラフの中で)ミドルアイアンで脱出できるようなライに遭遇する幸運もあるかもしれないけれど、ほとんどの場合、短いクラブでえぐり出すことになると思う」と述べた。
フェアウェイの間近に潜む深く茂ったラフは週初めの段階で、選手たちへの警鐘となった。ボールはオークヒルの深いラフへ吸い込まれる傾向にあり、密生した芝は、必要なバックスピンと弾道の高さを生み出すため選手たちがクラブをボールの下に入れることを妨げている。
トラックマンの関係者によると、コース内で計測したデータにより、ショートアイアンを使用した時でさえ、ラフからのショットではスピン量が激減することが明らかとなった。例えば、ザンダー・シャウフェレの場合、8番アイアンをフェアウェイの普通のライから打った時と比較すると、ラフからのショットでは6,000 rpm近くスピン量が落ちている。ここまで極端にスピン量が減ると、弾道は低くなり、キャリーの飛距離は落ち、深刻な制御不能の原因となる。
しかも、これは元々高弾道で高スピン量のショートアイアンでの話である。ロングアイアンとなると、フェース中心の前方にあるヘッドの重心位置と低ロフトにより、その効率の悪さはショートアイアンの比ではなく、ボールをグリーンへ届かせるのが難しいどころか、場合によっては、全くボールが上がらないこともあり得るだろう。
しかしながら、ハイブリッドや高ロフトのフェアウェイウッドであれば、重心位置がより低くボールから遠い場所にある特性により、高さとスピン量が格段に稼ぎやすくなる。また、状況次第では、高さのある打ち出しを実現する上で、より効果的にボールの下へクラブを入れることも可能となる。
週の初めに、大勢の選手たちがこぞってフィッターに新しいハイブリッドや高ロフトのフェアウェイウッドを注文していた理由はここにある。
例えば、マシュー・フィッツパトリックがGolfWRX.comに語ったところによると、彼は通常使用している4番アイアンの代わりに、今週はハイブリッドをバッグに入れている。タイトリストのレップ、J.J.バンウェゼンベックによると、ジョーダン・スピースは簡単に高弾道が打てる設計を理由に、“緊急用”として飛び系クラブであるタイトリストTSR1ハイブリッドをリクエストしたとのこと。
ゲーリー・ウッドランドは、火曜に確認したところ、いつも使用しているコブラLTDx LSの5番ウッドではなく、ピンG425 MAXの7番ウッドをバッグに入れていた。フリートウッドは既に7番ウッドを携えて転戦しているが、今週はテーラーメイドBRNR 13.5度ミニドライバーを外し、よりヘッドが小型でロフトの高い15度のステルスプラス3番ウッドをバッグに入れている。中には、ロフト角が24度(5番アイアンと同等)もある9番ウッドをテストする選手すらいる。
このトレンドが続くようであれば、今年の「全米プロゴルフ選手権」では通常より多くのヘッドカバーを目にすることになるだろう。
今回の「全米プロゴルフ選手権」における重要事項とは何か?
それはフェアウェイをキープすること。
これはキャリーの飛距離やコントロールを向上させるために、ハイブリッドや高ロフトのフェアウェイウッドは試してみる価値があるというアマチュア向けのレッスンでもある。プロが機能しない物にスイッチするはずはないのである。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)