倉庫でふと手に取り「なんてこった!」 デイが語る元エースパター回帰
ジェイソン・デイが前週の「AT&Tバイロン・ネルソン」最終日に、テーラーメイド ゴースト スパイダー Itsy-Bitsy ブラックパターでホールアウトして勝利を確定させた際、何事も一切あのときから変わっていないかのように見えた。
デイは「全米プロゴルフ選手権」制覇を含む5勝を挙げた2015年当時、このパターを使用していた。
その後16年にパターをスパイダー レッドへ変更したわけだが、15年以降は時折スパイダー ブラックを使用したことはあったものの、最終的にこのパターは彼の倉庫にあるバッグの中へと降格させられた。
しかし、その状況は、優勝の前週にあたる「ウェルズファーゴ選手権」の前に、たまたまこのパターがデイの目に入ったことで変わった。
5年ぶりのPGAツアー制覇を果たしたデイは、そこへ至るまで、特にパッティングの調子が悪いわけではなかった。実際はその真逆であり、今季のストローク・ゲインド・パッティングで11位にランクインしている。
デイは2023年に入り、最初の8大会は座りがターゲットに対してスクエアに感じられたという、多少バージョンの異なる何本かのスコッティキャメロンF-5.5マレット プロトタイプパターを使用した。
概ねパッティングが好調だったこともあり、1月以降は7大会連続でトップ20入り。しかし、39位タイでオーガスタを後にしたデイは、自身の倉庫へとさまよいこんだ。そのような場所で黒いクモに遭遇すれば誰であれゾッとするわけだが、デイは違った。手にすると良い記憶がよみがえったそのパターを、デイは「ウェルズファーゴ選手権」で実戦投入した。
デイはGolfWRX.comに「総合的に見て、あのスコッティキャメロンのパターは今でも良い感じで、全てにおいて最高で、とても気に入っているんだ。ただ、僕はどういう訳かこのテーラーメイドのパターを手に取ってみたのだけど、なんともこの重さがしっくりきてね。映画の登場人物が刀を手にしたときに“おお、これぞ完璧なバランス”みたいな感じになるけど、正にああいう感じがしたんだ。僕は“おいおい、なんてこった!”みたいな感じになった」と述べた。
「バランスの感じや重さの感じ。そして振り心地。僕がそれまで使っていたものより、断然均整が取れているように感じられ、“これはかなり良い感じがするぞ”となったんだ。パターを見下ろすと、とてもスクエアに見えたしね」
出戻りのスパイダーを使用した「ウェルズファーゴ」では予選落ちを喫したものの、デイはパッティングのパフォーマンスについては概ね満足していた。
「シャーロットでは、半分くらいまともなパットができたと感じた。僕はおしなべて、技術的に過ぎる考え方で臨んでいたんだ。とにかく、スコアメークできる機会が十分ではなかった。ショットの調子がそこまで良くなかった。そこで、先週になって僕は“そうだな。(技術的なことなど)もうどうでもいいじゃないか。とにかくショットを打つことに専念しよう。ゴルフをプレーしようという思いに立ち戻ろうぜ”と言ったんだ」
「AT&Tバイロン・ネルソン」でも引き続きスパイダーブラックを使用するとともに、ストレス無用の姿勢で臨んだ彼はストローク・ゲインド・パッティングを28位タイとしつつ、優勝を手繰り寄せた。
しかしながら、常にいじくり回すのが好きなデイは、再びパターを変更するかどうかについて何も確約できないと言う。
「もうスコッティキャメロンに戻らないと言っているわけではないんだ。絶対ということはあり得ないからね。ただ、今のところ、このスパイダーの感触はとても良い感じなんだ。今のところは、バッグに入れておこうと思う。後は状況次第だね。(パターは)とても良い感じだよ。距離感のコントロールが、劇的に向上したように感じているんだ」とデイ。
従って、スパイダー ブラックは今週の「全米プロゴルフ選手権」でも実戦投入されることになる。今のところは、と言うことだが。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)