30年前にリビエラでツアーデビューしたウッズが使った1Wとは
今年は、タイガー・ウッズがリビエラCCでPGAツアーデビューを果たしてから30周年の節目だった。当時16歳だったウッズは、校長の許可を取り付けた上で大会に出場し、「72」「75」のスコアで予選落ちしたが、「僕にとって人生が変わった瞬間」と語っている。その後の30年間がどうなるのか、私たちは知る由もなかった。ウッズはその後、メジャー15勝を含む史上最多のツアー82勝を記録した。そして、「ジェネシス招待」のホストとしてリビエラに戻ってきた。
ゴルフの世界にも多くの変化があった。特に1992年以降、クラブ技術は大きく進歩した。ウッズのPGAツアーデビュー30周年を記念して、16歳のウッズがその週に使用したドライバーを詳しく振り返ってみた。テーラーメイドの関係者が認めた通り、ウッズはテーラーメイド ツアープリファード バーナープラスドライバーを使用し、シャフトは“ツアーゴールド フロム テーラーメイド”が装着されていた。
ウッズはリビエラでの2ラウンドで、ティショットの平均は263.3ydだった。これはフィールドの平均(263.9yd)をわずかに下回る飛距離であり、このカテゴリーの首位(ジョイ・シンデラーの288.0yd)とは25yd差だった。その週、優勝を遂げたフレッド・カプルスの最初の2日間の平均飛距離は282.5ydで、36ホール終了時点のリーダーで、最終的にプレーオフでカプルスに敗れたデイビス・ラブIIIの平均飛距離は283.8ydだった。ウッズはこのスタッツでは、全フィールドの144人中、77位だった。
テーラーメイドはメタルウッドの分野ではパイオニアであり、1979年に最初のメタルウッドとなったピッツバーグ パーシモンを発売している。ウッズが1992年に使用したバーナープラスモデルは、1980年代終盤から1990年代にかけてテーラーメイドが発売していたドライバーのシリーズのひとつだった。
1989年のテーラーメイドのカタログによると、ツアープリファード ドライバーは、通常よりストロングロフトになっているものの、“三次元ウェイティング”設計により、ヘッドの重心はより低く、より後方に位置していた。ストロングロフトと後方重量配置のコンビネーションにより、テーラーメイドは飛距離と精度の両立を可能にしていた。さらに、ドライバーのホーゼルは通常より細くなっており、これによりスイング中の抵抗が軽減したのに加え、重量を減らすことになり、その余剰分をクラブヘッドへ回すことで、寛容性の向上を果たした。
2022年の新しいゴルフクラブのテクノロジーについての説明書きを読んでみると、クラブメーカーは、今でも似たようなエンジニアリング上の進化について挑戦しているのがわかる。典型的なゴールは、ウェイトの位置変更による寛容性と初速向上の強化である。
ウッズのバーナープラスはステンレス製だが、これはパーシモンの時代からチタンが登場する90年代初頭にかけての過渡期ではドライバーに一般的に使用されていた素材である。見てわかる通り、ウッズが1992年に使用していたドライバーは、今日のドライバーと比べると極端に小さい。素材の軽量化が進み、長年にかけてメーカーが賢くなったことで、ドライバーは極度に大型化したのである。
直近の出場となった2021年「PNC選手権」で、ウッズはテーラーメイドの新しいカーボンウッドテクノロジー第1作となったテーラーメイド ステルス プラスを使用した。このクラブの黒赤フェースは60層のカーボンで製造されており、ソールウェイトとホーゼルには調整機能が付き、クラウンはカーボンでできている。
ステルス プラスと、ウッズが30年前のPGAツアーデビューを遂げた30年前に使用したドライバーとでは、そこにあるテクノロジーはあまりにかけ離れている。ただ、楽しみとして、ツアープリファード バーナープラスを自分用に使いたいということであれば(自宅のガレージに眠っていないようであれば)、第三者のウェブサイトにて20ドル以下で手に入れることができるだろう。
試しに打ってみるといい。おそらく、16歳のウッズより遠くへまっ直ぐ飛ばすことは到底できないだろう。
(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)